NIGHT_SHIFT (B級映画&ゲーム雑感 上井某BLOG)

上井某(家主)が観た「B級映画」(主にホラーとサスペンス)の感想と、たまにゲームとかアニメとかについてつらつらと語るブログです。

映画感想:「アンダー・ザ・ウォーター」(40点/SFサスペンス)

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■■■「アンダー・ザ・ウォーター」■■■
(40点/SFサスペンス)

 2095年、海面上昇によって都市のほとんどは壊滅し、人類を含む動植物の多くが塩害による絶滅の危機に瀕し、真水は希少品と化していた。

 そんな最中、2017年にとある女性科学者が『塩害に対応するために海水を真水に変える技術』を確立しつつも、その発表の前に飛行機事故で死亡していた事が判明。

 政府は、タイムパラドクスによる時空崩壊の危険性から禁止されていた『量子テレポーテーションを応用したタイムトラベルの技術』である「QEDA」を利用して、軍のファン・ルン大尉に自らの分身を過去に送り込んで、過去からその技術を持ち帰るという密命を与えるが…



 海面上昇によって多くの生物が絶滅に瀕した世界で、過去から人類を救う技術を持ち帰るために軍の諜報部員がタイムトラベルを敢行するが…という感じのスウェーデン製のSFサスペンス映画。

 タイトルや雰囲気からして、水面上昇によって文明が崩壊した世界を舞台とした『ポストアポカリプス的な世界を舞台としたSFアクション映画』なのかと思っていたのですが、実際の中身の方はタイムトラベルやらタイムパラドクスを題材としたSFサスペンス的なノリの作品でした。

 お話としては、『海面上昇による塩害で人類が滅亡に瀕した近未来、海水を真水の変える技術を開発しつつも発表する前に死亡した科学者の元から技術を持ち帰るために、全世界で禁止されているタイムトラベルを実施する事となるが、その技術は量子テレポーテーションを利用したもので、対象者を2つに分離させて半身を過去へと送り込むという特殊なものだった』みたいな感じのストーリー。

 この『過去に向かった半身』と『未来に残った半身』が、『別々の視点でお話を進めていく』という辺りに、なかなか面白い設定を採用しているのが特徴の作品ですね。

 ただ量子テレポーテーションを活用したタイムトラベル』とかって小難しい設定は使われていますが、実際にはそういった『SF要素』は味付け程度という感じで、どちらかというと『自分自身の意見が2つに分かれてしまった男の取った「選択」が引き起こす思いがけない事件』みたいなのがメインのサスペンスという感じ。

 スウェーデン製の映画なのですが、欧州作品らしく『雰囲気映画』的なテイストが強い内容で、退廃した未来世界の雰囲気づくりやら絵作りにアート的な傾向が強くて、そういうテイストを見ているだけでもそこそこ楽しめるのは良い感じ。

 ただ欧州作品らしく非常にスローテンポな内容で、『雰囲気映画』としては良いのですが『SF映画』としてはテンポが遅すぎてちょっとダルいです。

 また、『海面上昇で絶滅しかかった世界』とか『量子テレポーテーションによるタイムトラベル』とか大仰な設定を採用している割には、全体的に絵面が地味で作品世界に魅力が欠けるのも残念なところですね。

 終盤の予想外の展開とかSFサスペンスとしては面白い部分もあるのですが、『時空崩壊による人類の危機』とかが差し迫っている割には、関わっているのが『主人公とその周辺の数名のみ』みたいな規模でお話が完結しまっており、どうにもスケールの小さい地味な感じのお話になってしまっているのも違和感があるところかなぁ?

 ここまでスケールのデカそうな設定を採用するのであれば、ハッタリでももうちょっとスケールの大きそうな雰囲気を持たせても良かったんじゃないかと…

 あと『主人公の半身』が過去にこだわった理由が意外としょうもないので、もうちょっと説得力のある理由に出来んかったものかという気がしたのは、自分だけですかね?


 総評としましては、どうにも『スローテンポで盛り上がりに欠けるSFサスペンス映画』って感じの作品です。

 雰囲気映画としては割と良いテイストは持っていると思うので、欧州系のそういったテイストの作品が好きであれば、チェックしてみるのも良いかもしれません。

 個人的には、悪くは無い部分もあるもののあまりプッシュするような要素もそこまで無いですし、『オススメするにはちょっと弱い作品かな…』という感じの一本でしたよ。