NIGHT_SHIFT (B級映画&ゲーム雑感 上井某BLOG)

上井某(家主)が観た「B級映画」(主にホラーとサスペンス)の感想と、たまにゲームとかアニメとかについてつらつらと語るブログです。

「ツールボックス・マーダー」(70点:意外と正統派ホラー)

イメージ 1

■■■「ツールボックス・マーダー」■■■
(70点:意外と正統派ホラー)

 改装工事中という事で格安の古いアパートに引っ越してきた新婚夫婦のスティーブとネルは、改築工事の騒音と工事中の様々な不具合、不気味な修理工、近所からの騒音等のせいで強いストレスを感じながらも、なんとか生活を続けていた。

 しかし隣人が謎の絶叫を残して行方不明になり、親しくしていた近所の住人が消え…といった相次ぐ奇妙な現象に、妻のネルは疑問を抱くようになり、このアパートには何か秘密が隠されているのでは無いか?と疑い始める…


 ホラーファンの間ではお馴染みの悪魔のいけにえ鬼才:トビー・フーパー監督の新作ホラー映画。

 パッケージを見た感じ、いわゆるゴア系のグロ映画かと思っていたのですが、意外にもしごく正統派のスラッシャーホラー映画。

 ツールボックス(道具箱)の殺人鬼ってタイトルの通りに、ペンチやらドリルやら電気ノコギリやらを使って殺人が行われるんですが、殺人の描写は意外とおとなし目(っていっても、まあ普通のホラー映画並にはグロいけど)で、むしろトビー・フーパー監督お得意の『うわ痛そう!!』ってのを想像させるような描写が多いのが特徴です。


 私も、序盤は『単なるスラッシャームービーなのかな?』と思って見ていたのですが、中盤からは意外な方向にお話が進んで行き、コレがなかなか面白い。

 『この古アパートに隠された恐るべき秘密とは?』って感じのミステリーっぽい謎解きプロセスから始まる後半の展開はなかなか秀逸で、追跡劇の緊張感を保ちつつ謎が少しづつ開かされて行くシーンでは、予想外の展開にドキドキしつつも、なかなか楽しく観る事が出来ました。

 ただ謎解きに関しては若干説明不足な点も多く、観終わった後に『結局、あの殺人鬼は何者で何がしたかったの?』とかって、消化不良な部分が残ってしまうので、その辺はちょっと評価が分かれるところでしょう。
 (DVDに入ってるオマケの「メイキング」の解説を聞けば、若干意味が分かるんですが…)

 個人的には『えっ、そんなんで良いの!?』って言うような唐突なオチも、トビー・フーパーらしくて良い味だと思うのですが…。

 ただ、全盛期のトビー・フーパー的なノリノリのエグい描写や怖さは感じられず、ちょっと大人しく小ぢんまりとまとまり過ぎてるかな?と思う所もあるので、氏のファンの人が観ると若干物足りないと感じてしまうかも?


 総評としましては、もっと内容の無い映画を想像してたんですが、意外とサスペンス色の濃いごく普通に楽しめるホラー映画でした。

 トビー・フーパーの新作だから…とかって気負わずに、ごく普通にホラー映画として鑑賞すればなかなか面白い作品だと思います。

 パッケージだけ観ると凄い残虐描写いっぱいのグロ映画みたいな感じなんで、逆にそっち(グロ)方面を期待してると、ちょっと肩透かしを食らうかもしれません。

 久々に非常に『ホラー映画らしいホラー映画を観た』って感じなので、ごく普通にホラー映画が観たいって人にはオススメの1本でしょう。


 ちなみにこの映画、大昔に作られた「Toolbox」ってB級ホラー映画のリメイクらしいんですが、不勉強ながら元の映画を全く知らないので比較のしようもありません。

 というか、自称ホラーマニアである私ですら見た事も聞いた事も無い映画のリメイクってどうよ?とか思うんですけど…
 最近はこの手のどマイナーなホラー映画のリメイクが流行ってんでしょうか?