■■■「ネズミゾンビ」■■■
(55点/モンスターホラー:結構オススメ)
ニューヨークの下町であるマルベリー通りにあるアパートの住人達は、巨大企業であるクローム社のマンハッタン南部の再開発計画によって、住居からの立ち退きを余儀なくされつつも、住人達で仲良くつつましい生活を送っていた。
しかしそんなある日、地下室で配管の修理中にネズミに噛まれたアパートの管理人が奇妙な病気を発症。
ネズミのような顔の怪物となって、住民に襲い掛かってくるという恐るべき事件が発生する。
時を同じくして、マンハッタン全土で同じような『ネズミに噛まれて謎の感染症を発生する』という事件が発生していた事から、街中は同じようなネズミ顔の怪物『ネズミゾンビ』で溢れかえる事態となってしまう。
更に、ネズミゾンビに噛まれた人間は2次感染を引き起こす事から感染は爆発的に拡大し、ニューヨーク市をマンハッタン島に戒厳令を敷き、連絡路を遮断して本土から隔離。
アパートの住人達は一致団結して、なんとかしてこのピンチを乗り越えようとするが…
ネズミが媒介する『謎のウィルス』によって人々がゾンビと化してしまうという設定の、モンスターホラー映画。
「ネズミゾンビ」とかってタイトルだけ聞くと、物凄く『Z級ホラー』な風味の漂う印象を受けるのですが、実際には各種のホラー系の映画祭で賞を受賞した作品とかで、内容的には普通に良く出来たゾンビ映画だったりします。
設定的にはゾンビの一次キャリアが「ネズミ」になっただけで、お話としては特に目新しい部分は無いような作品なのですが、全体的な作りが非常に丁寧。
序盤の、住人のキャラクター紹介の部分が少々長めですが、モンスターが登場するまでの引っ張り方も不安感を煽る演出がよくて、特に退屈するような事もなく…
モンスターが登場してからの展開も非常にテンポが良くて、観ていてとにかく退屈しません。
まあ逆に、割と丁寧に設定が描かれたキャラが何の活躍もしないまま、いきなり死んでしまったりするのは、逆に『どうなんだ?』という部分もありますが…
特撮は割とチープでグロ描写もたいした事は無いのですが、チープさを演出で上手くごまかしており十分に観るに耐えるレベルですし、ネズミゾンビと化した人々が『口を血まみれにして4つんばいで迫ってくる姿』は、かなり不気味でなかなか怖いです。
ただ、序盤~中盤が非常に良好なのに対して終盤はちょっとグテグテな感じで、少々締まりが無い印象を受けてしまったのは勿体無いところ。
オチが投げっぱなしになるのは『大規模感染タイプのゾンビ映画の宿命』なので、その点に付いては特に文句も無いのですが、終盤からの展開で『もうちょっとビシッと決まる終わらせ方』を見せて欲しかったかなぁ?
総評としましては、『タイトルはアレな感じ』ですがタイトルにだまされずに観れば、B級で小粒ながらも『ごく普通に良く出来た良作のゾンビ映画』だと思います。
近年の(リメイクではない)オリジナルのゾンビ映画としては、なかなかに良く出来た作品だと思いますので、ゾンビ物が好きな人ならば普通に観ておいて損は無い一本でしょう。
タイトルの割に内容的には『割と暗くてシリアスな雰囲気の作品』なので、逆にホントの『バカ映画が観たい人』はだまされないように要注意です。