■■■「パペット・マスター(2019年版)」■■■
(55点/モンスター)
(55点/モンスター)
テキサス州のダラスの町。
妻と別れて帰郷した漫画家のエディは、実家で幼いころに事故で死んだ弟の持っていた不気味だが精巧なカラクリ人形をクローゼットから見つける。
人形が弟が以前に郊外のキャンプ場で拾ったものだと知った彼は、その人形が30年前に大量殺人を犯した狂気の人形師のトゥーロンの持ち物ではないかと考え、人形を競売にかけられないかと画策。
友人のマーコウィッツ、アシュリーらと共に、彼の遺品が競売されるトゥーロン邸の『惨劇追悼ツアー』へと参加することとなるが…
ナチスの狂気の科学者によって作られた殺人人形が永い眠りから目を覚まして、かつて惨劇を起こした屋敷でツアーに訪れた人々を襲う…という、オカルト風味のモンスターホラー映画。
80年代に作られたカルト的人気を誇る同名のホラー映画である「パペットマスター」のリブート版となる作品で、謎の科学者によって作られた『殺人人形』がひたすら人間を襲うというようなお話です。
ストーリー的には特にリメイクという事はなく、博士がナチスの科学者になっていたりと割と設定が異なる印象。
(パペットマスターは初期の方の作品しか観ていないのですが、オリジナル版では人形は『古代エジプトの魔術』みたいなので操られていた気がします。)
(パペットマスターは初期の方の作品しか観ていないのですが、オリジナル版では人形は『古代エジプトの魔術』みたいなので操られていた気がします。)
リブート版という事で、今までのシリーズとの繋がりもあまりなく、シリーズを観ていなくても困らないような作りになってはいるのですが、今までのシリーズのパペットたちが特に説明もなく登場する辺りからしても、どちらかというと『シリーズを好きだった人向け』のお祭り作品的なノリが強い印象かも?
お話としては『殺人人形を作った狂気の科学者トゥーロンの屋敷に訪れた人々が、永い眠りから目を覚ました人形軍団に殺されまくる…』というホントにソレだけの内容。
まあ、この殺人人形たちが人間をとにかく殺して殺して殺しまくってくれます。
序盤の『主人公がツアーに参加する事になった経緯』とか『トゥーロン博士の悪行(過去に屋敷で行われた惨劇)』の説明が終わった後は、ひたすらお馴染みの『人形軍団が暴れ回って人間を殺しまくるだけ』という感じの内容で、あまりにも殺害シーンが多すぎてマトモなストーリーらしいストーリーは全く存在しないレベル。
古き良き時代を彷彿(ほうふつ)とさせる『特殊メイク』による、過剰なまでのグロシーンの連発で、妊婦だろうが子供だろうが手加減なく虐殺しまくる人形たちの大暴れっぷりは、ある意味でちょっと笑えるレベルに仕上がっています。
割と本気で並みのモンスター映画の5倍ぐらいは人が殺されている感じで、まさに『殺人人形たちの殺戮ショー』を楽しませるためだけに作られた作品という印象ですね。
ただ、人形の暴れっぷりが沢山見られるのは良いのですが、ホントに『それだけの映画』で終わってしまっているのは残念なところ。
キャラクターの描き込みが全体的に浅くて、主人公を含めて登場人物の掘り下げが殆どなくて感情移入できるような要素がないため、残虐シーンを連発されてピンチを演出されてもどうにも盛り上がりに欠けます。
旧作ではあれだけ個性的だった殺人人形たちの個性もいま一つ活かされておらず、殺害シーンがややワンパターンに見えてしまうのも残念なところ。
ぶっちゃけ、あまりにも同じような殺害シーンが延々と続くので、観ていて途中でちょっと飽きてきてしまいましたよ…
一部で面白い殺害シーンもあったのはあったのですが、『どうでもいい殺害シーン』があまりに多すぎて埋もれてしまっている感じなんですよね。
もうちょっと主人公も殺人人形も含めて、キャラをシッカリと立てるように描いた方が良かった気がします。
ラストの展開も矢鱈とアッサリしていて盛り上がりに欠ける印象ですし、続編に引っ張るようなオチでしたが、これの続編を観たいかと言われると正直言ってちょっと微妙かなぁ?
総評としましては、派手な残虐描写テンコ盛りながらも『内容が全くないゴアホラー映画』って感じの作品です。
とにかく『殺人人形が暴れまくるシーン』は山盛りですので、『久々に殺人人形の暴れっぷりを堪能したい』というのであれば、まあまあ楽しめる作品だと思います。
ある意味で懐かしさ感じさせるような、ゴア描写だけに無駄に力が入った80年代のスプラッタホラー的なノリの作品が見たいのであればオススメですが、そうでなければむしろオリジナルの旧作を先に鑑賞した方が良いかもしれません…