■■■「着信アリ2」■■■
(55点/Jホラー)
都内の保育園で保育士として働く杏子は、恋人の働く中華料理店で友人と食事中に、友人の携帯に聞いた事も無い不気味な着メロが鳴り響くのを聞く。
その電話は1年前から噂になっている、未来の自分自身からかかってくるという『死の予告電話』だったのだ。
そして電話の予告どおりに、彼女の身の回りで恐るべき死の連鎖が起こり始める。
『死の予告電話』の調査を行っていたルポライターの孝子は、事件を追ううちに杏子と出会い、目の前で『死の予告電話』を受けた彼女を何とか救おうとするが、調査を進める内に1年前の事件と今回の事件との相違点に気付くのだが…
都市伝説風の『死の予告電話』をモチーフとして話題を呼んだ、前作である「着信アリ」の続編に当たるJホラー映画。
前作は、『色んな意味で突き抜けた映画』を撮る事で有名な三池崇史監督がメガホンを取り、予想にたがわぬ変態っぷりを発揮した快作だったのですが、今作は監督も変わった事もあって、どうなのかなぁ?と心配していたのですが…
やっぱ、監督変わっちゃうと微妙ですかねぇ…
前作では、『陸橋から飛び降りた人間が電車の屋根にバウンドしてバラバラになる』とか、『人間の体がボロ雑巾でも絞るように捻じ曲げられて殺される』といった『やり過ぎ過激描写』や、『そこでその展開はアリなの!?』という意外性が楽しかったのですが、ソレに比べると、過激描写もムチャクチャ大人しくなって、良くも悪くも『普通のJホラーになっちゃったなぁ…』といった感じ。
いや、別に今作も決してツマんない訳ではなく、むしろJホラーとしては良く出来てる部類に入るのですが、やはり前作と比較するとインパクト等で負けてる部分が大きいのは否めません。
ただ、ストーリー展開に関しては…
ネタバレになるので余り詳しくは書きませんが『前作と同じような話なのかな?』と思わせておいて、今作でも『えぇっ、そんな展開なの!?』といった意外性を持った方向に話が転がっていき、今回もなかなかに楽しませてくれます。
しかし前作でも相当分かり難かったストーリーが、今作では拍車をかけて分かり辛くなっているのは、どうしたもんでしょう?
一応、3作目の製作が既に決定されているとかってウワサですので、次回に対する前振り的な意味もあって謎を残したのかもしれませんが、それにしてももうちょっと分かりやすく話を描いてもバチは当たらんのじゃないかと…
実は『ストーリーが分かり辛い』のを、シリーズに伝統にでもしようとしてるとか?(どこのカルト映画だよ…)
物語のテンポも序盤は非常に良くて面白いのですが、意外と殺される人とかが少なくて、中盤でちょっとダレちゃうのも惜しい所。
謎解きに注力するのも良いけど、ホラーなんだしもうちょっと観客向けのサービス(といってもアメリカのB級ホラーみたく、お姉ちゃんの裸を出せと言ってるのではない)があっても良い所でしょう。
総評としましては、前作と比較してしまうとどうしても見劣りしちゃいますが、Jホラーとしては悪くは無い程度の出来の作品だと思います。
前作が気に入った人なら、ギリギリ及第点で許せるかな?と言ったレベルの作品ですので、まあソレなりに気になる人は慌てて観ないまでもチェキしておいても良いのでは無いかと思います。
他のJホラー作品には無い『力任せの残虐描写』(「リング」や「呪怨」だと、『なんだか良く分からないけど人が殺されていく』って感じなのに対して、このシリーズは、
幽霊が力任せに実力行使をしてくる)って辺りで差別化が図られてる、数少ない個性を持ったJホラータイトルですし、もっと頑張って欲しいところですよ。
そんな訳でまあ続編に期待しつつ…可能ならばもう一度、三池監督に本作シリーズのメガホンを取って貰いたい所ですなぁ…