■■■「えじき」■■■
(45点/オカルト風モンスター映画?)
1863年の南北戦争時代のアメリカのアラバマ州。
ウィリアムら強盗団の一味は仲間と一緒に銀行を襲撃、行員を殺戮した後に金貨を奪って逃走する。
荒野に逃走した彼らは、追っ手を巻くために、ウィリアムの戦友の屋敷で今は廃屋となっている荒野の一軒家で一晩を明かす事となるが、その場所で彼らは人とも獣とも付かない謎の生き物や、青白い顔をした少年の霊といった、悪夢とも現実とも付かない出来事に次々と遭遇する…。
開拓時代のアメリカを舞台とした、ゴシックテイストが漂うオカルトホラー映画。
開拓史時代という独特の世界観を使う事で、現代劇にはないゴシック調のテイストを上手く出しており、得体の知れない雰囲気やら恐怖感やらを非常に上手く醸しだしているのは、この作品の非常に評価出来る点でしょう。
登場する怪物も全身の毛が抜け落ちた獣のような訳が分からない姿で、とにかく『得体の知れない不気味さ』という物の表現に関しては、最近のホラー映画でも髄一のレベルです。
ただ、独特の雰囲気のお陰で中盤までは確かに面白いんだけど…
『これからどうなるんだろう!?』と思って見てても、とにかく事件が起こらない。
事件が起こったら起こったで、『えっ、今の人、アレで死んだの?』と言った感じで、シーンの描き方もやたらと中途半端で、どうにも観ててストレスが溜まる一方。
いくら雰囲気が良いと言っても流石に雰囲気だけで90分間引っ張れる訳も無く、中盤から相当ダレて来た所に、70分ぐらいからようやく謎解きが始まったと思ったら、それも物凄く中途半端なままに、物語は急転直下の展開を見せ唐突な意味不明のオチへ…
とにかく何が起こってるんだか、怪物の正体は結局何だったのか等、最後の最後まで訳が分からないままで、『不気味で訳が分からないもの』が、『不気味で訳の分からないまま』終わってしまってるので、物凄い消化不良で何じゃコリャって感じです。
美術や雰囲気や作品の持つテイストは素晴らしいんだけど、余りにも説明不足で作品の見せ場が少ない為に、それらが全て『こけ脅し』で終わってしまっているのが残念な所。
DVD発売元のHPのキャッチコピーに…
『リング』の恐怖、『ビデオドローム』の戦慄が蘇る。
とか書かれてるんですが…
まあ、雰囲気とかから言わんとしてる事は分かるんだけど、そこまでたいした物でもなく…
それならいっそ「ビデオドローム」のように、説明不要の不条理映画っぽい展開にでもなってれば良かったのに、怪物の正体とか中途半端に説明しようとしているので逆に安っぽくなってしまってるのがなぁ…
総評としましては、なんというか物凄く微妙な感じのホラー映画。
予告とかの雰囲気が非常に良く、本編でもその雰囲気はそのままなので、ある意味、期待に答えてくれる内容ではあるのですが、ホントにソレだけなんですよね…
全体的に『もう一捻り』あるか、或いはもっと『雰囲気のみに特化して突き抜けた作品』になっててくれれば結構面白くなったかもしれないのに…非常に惜しい作品です。
とりあえず、TVの深夜枠とかででも放映されれば、まあ観てもいいかな?といったレベルの作品だと思います。
(個人的にはWOWOW辺りでスグに放映されそうな予感がする…)
同監督で次回作でもあれば結構面白い映画になるかもしれないので、それはちょっとだけ期待しておきましょう。