■■■「人間蟲」■■■
(30点/SFホラー)
ベンとジュリーの夫妻は、ある日ドライブ中に、女を追って道路へ飛び出してきた一人の男を車で跳ねてしまう。
夫妻は負傷した男を病院に連れて行こうとするが、男が病院に行くことを断固として拒絶した為、夫妻は仕方なく気を失った男を自分たちの家へと連れて来る事となる。
目を覚ました男はパトリックと名乗り、自分は人類の中に紛れ込み人類を食い物とする『吸血鬼』のような怪物と戦い続ける12人のハンターの一人であり、自分を助けた事から夫妻の命も危険にさらされていると言うのだ。
最初は彼のいう事を信じなかった夫妻だったが、ハンターの命を狙う怪物達との遭遇によって、夫妻は人類の存亡をかけた恐るべき戦いへと巻き込まれていく事となる…
人間になりすまして人類の中に潜み、人類を餌とする寄生生物とハンターとの戦いを描いたSFアクションホラー映画。
簡単に言ってしまうと、「寄生獣」の設定に「ブレイド」風味を足して2で割ったような話…
ゴメン、『2で割った』はちょっと誉めすぎた。
「寄生獣」の設定に「ブレイド」風味を足して、15~20倍に希釈したような話です。
どうやら、海外のTV映画用に作られた作品っぽいんだけど、とにかく全体的にチープな映画。
人間の体に入り込み人間を操るというヤツメウナギ風の寄生生物が登場するのですが、予算がよっぽど無かったのかホントに『出てくるだけ』で存在感が希薄。
ヴィン・ディーゼルをショボくしたみたいなスキンヘッドの主人公は全然カッコ良くないですし、アクションホラーっぽい体裁を取っておきながら、何かやたらと小難しい哲学的な理屈を並べ立てた会話劇のシーンが異常に長くて、その会話もちっとも面白くありません。
たまにアクションシーンが出てきたと思ったらこれまたお粗末で、『怪物を倒すためには寄生された人間の首を切り落とすしかない』という設定から、手足や首の切断といったスプラッタな描写も出てくるものの、80年代のB級ホラー並のチープさで、作り物ってのが丸分かりで逆に『予算が無いのって辛い事なのね…』と切ない気分になれます。
ストーリーもどっかで聞いたようなセリフやシーンの継ぎはぎで、お話の内容も前後で言ってることや設定が支離滅裂。
主人公が車に跳ねられて重症を追った後『6時間で回復する』みたいなセリフを言う癖に、オチでは『実は普通の人間だった』という驚愕の事実がバラされますし…
最初は『夫妻を巻き込みたくない』みたいな事を言ってた割に、通りがかりの飲み屋のバーテンや常連のオヤジに、意味も無く寄生生物の秘密や自分の正体やらをバラしてみたりと、行動も全くもって意味不明。
なんというか、この映画の脚本書いた人間は『一度でも自分の脚本を最初から最後まで通して読んで見た事があるんかいな?』と言いたくなる事ウケアイです。
ここまででも十分にツッコミどころ満載なんですが、更に本編を見ててどうしてもツッコマずに居れなかったのが…
この主人公がドラッグの常習者で、注射跡を隠す為に左腕の動脈の辺りにタトゥーをしてるんですが、そこに彫ってあるタトゥーに書かれている文字が『海人』!!
いやいや、何で『うみんちゅ』!?
あなたは、沖縄県の観光土産か何かでタトゥーを入れて貰いましたか?
もう、ホントに訳が分かりませんよ…
総評としましては、なんというか『やりたい事は分かるんだけど、ちょっとレベル的にも予算的にも無理があったねぇ』という感じの、学生が自主制作で撮ったみたいな映画です。
ストーリーにしても演出にしても、あちこちから面白そうなネタを持って来ようとしてるのは分かるんだけど、それが見事に噛み合ってないというか、どれもがチープで中途半端なんですな。
ハッキリ言ってフツーにショボくてツマんない映画なので、たとえ100円レンタルとかで借りれたとしても誰にもオススメはしません。
『海人』のタトゥーがどうしても気になるので、自分の目で確かめないと気がすまない!!って人だけ観て下さい。