■■■「オーヴァーロード」■■■
(60点/モンスター)
(60点/モンスター)
1944年、Dデイ直前のフランス。
爆破のエキスパートであるフォード伍長は、第101空挺師団と共にフランスのシエルブランの村の教会の上に建てられた、ドイツ軍の妨害電波塔を破壊する作戦に参加する事になる。
激しい対空砲火のなか、なんとか降下に成功して生き残った5人の隊員は、任務遂行のために教会へと向かうが、途中で出会った現地住民のクロエという女性から、『ナチスの科学者が村人たちを教会へと連れ込んで人体実験を行っている』という奇妙な噂を聞かされ…
ドイツ軍が基地として占領している教会へと破壊工作に訪れたアメリカ軍の兵士が、そこで行われていた恐るべき人体実験の秘密を知り野望を食い止めるために戦う…という、戦争アクション風味のモンスターホラー映画。
J.J.エイブラムス製作による作品なのですがで、B級ホラーながらもちゃんとしたところが作っているだけあって、特撮にせよストーリーにせよ割とシッカリと作られた作品という印象。
というか、少し前に出てた「オーバーロードZ」っていうD級ぐらいの戦争ものホラー映画って、この作品のパクリだったんですね。
(元ネタがそもそもメジャーじゃない場合は、パクる意味ってあんまり無いような気が…)
お話としては、『アメリカ軍の空挺部隊が、ドイツ軍の前線基地と化したフランスの教会を破壊するために作戦を開始するんだけど、実はその教会の地下ではドイツ軍が秘密の人体実験を行い怪物と化した強化人間を作り出していました』みたいな感じのストーリー。
『ドイツ軍が人体実験で作りだした強化人間』vs『アメリカ軍特殊部隊』というプロット自体は割とありがちでそこまで目新しさは無い感じですが、作品自体がシッカリと作られているため、設定のチープさの割にはあまり安っぽさを感じさせられないのは良いところですね。
B級映画だけあってお話の規模は小さいものの、対空砲火を受けながらのパラシュートによる降下シーンとかドイツ軍との銃撃戦とか、普通に戦争映画として通用する程度のレベルに仕上がっているのは良い感じ。
ドイツ軍が作りだした『ゾンビ風味の強化人間』も、なかなかパワフルで良い感じですし、『パーツだけになって生かされている被験者』等のエグい人体実験の描写もいかにもホラー的で良い味を出しています。
主人公たちも良くキャラが立っていますし、敵役となるドイツ軍の将校がまた良いキャラをしていて、ラストは『主人公とドイツ将校の一騎打ち』とか矢鱈と熱くて盛り上がる展開を仕込んでくれる辺りも良く分かっている印象。
ただシッカリ作られているとはいえ、低予算映画だけあって全体的にちょっとダラダラしたシーンが多め。
終盤のドイツ軍の前線基地に突入する辺りからの展開は、非常にテンポも良く盛り上がるのですが、そこまでの展開が妙に長くてダレる印象があったので、もうちょっと早めに前線基地に突入するなりしてアクション要素を強めにして欲しかったです。
(まあ、予算の都合でそうもいかなかったんでしょうけど…)
『ゾンビ風味の強化人間』も良いキャラの割には出番が少な目で、どうにも暴れ足りない印象があったので、そっちももう少し出番を増やして欲しかったかなぁ?
あと設定がちょっと紋切り型すぎて印象に残る部分が少なかった気がするので、もっと「武器人間」とか「アイアンスカイ」とかみたいな本作ならではの個性とか特徴があると良かったかも?
総評としましては、割とシッカリと作られた『佳作レベルの戦争アクション風味のモンスター映画』って感じの作品ですね。
ただ『J.J.エイブラムス製作』といっても割と低予算寄りの映画なので、あんまり派手な内容は期待しない方が良いですけどね…