■■■「ドール・メーカー」■■■
（５５点／サスペンス）
（５５点／サスペンス）
犠牲者の人形を作り、自らも人形の仮面を被って殺人を犯す『ドール・メーカー』の通称で恐れられる連続殺人鬼が逮捕される。
逮捕された青年のピーターは、存在しない筈の双子の弟であるアーロンの指示によって殺人を行ったと証言し、精神鑑定の結果、無罪となり精神病院に収監される事となる。
それから数年後、治療を終えた彼は精神病院を退院する事となるが、自宅へと帰った彼は過去のトラウマによって再び心身に不調を来たし始めてしまう。
同じ頃、彼によって姉を殺された少女・モニカと、彼を逮捕したものの有罪に出来なかった刑事のドイルは、彼が再び罪を犯すのではないかと疑い密かに監視を行うが、そんな矢先に近所の女子高生が行方不明になる事件が発生し…
精神鑑定で無罪となった後に精神病院から解放された連続殺人鬼が、様々な経緯を経て再び闇に飲み込まれていくという様子を描いた、サスペンススリラー映画。
「チャイルド・プレイ」のトム・ホランド監督による新作ですが、ストーリーとしては精神病院で治療を終えて帰ってきた連続殺人鬼と、彼を取り巻く人間模様や異常な事態を描いたサスペンスって感じの内容のお話です。
『精神病院で治療を終えた殺人鬼が再び殺人衝動に囚われる』というプロットは、そこまで多くないものの時々見かけるタイプの設定ではあるのですが、本作は他にも『彼を見張って復讐を試みるヒロイン』が登場したり、殺人鬼の『過去のトラウマ』がお話に大きく影響を及ぼしてみたり…といった具合に、色々な要素が詰め込まれていてなかなか一筋縄では行かない内容になっているのは面白いですね。
序盤～中盤あたりまでは、主人公の過去の回想やら、主人公を見張るヒロインとか刑事たちやら、更生した（？）殺人鬼を中心とした人間関係等が中心に描かれており正直言ってちょっと冗長な感じなのですが、過去の回想シーンとかで残虐シーンを描いてみたりとかシッカリと見せ場が用意されており、退屈しない作りになっているのは良い感じです。
そんな感じで、中盤辺りまでは『更生した殺人鬼が再び闇の衝動に駆られていく』みたいな割とありがちな感じの話なのかな…と思いつつ観ていたのですが、中盤以降の怒涛の急展開っぷりがなかなか凄い。
いわゆる『どんでん返し系』とかってレベルじゃなくて、『えっ、この話、この先どういうオチが付くのが正解なの？』みたいな感じの予想外のストーリーとスピーディーな展開で、あまりの先の読め無さにビックリさせられてしまいましたよ。
ありふれた感じの題材の作品で、こういった『突き抜けた個性』をみせてくれる辺りは、流石は腐っても（Ｂ級低予算でも）トム・ホランド監督という感じ。
ただ、終盤の展開は非常に面白いのですが、オチがちょっと投げっぱなしすぎなのと、全体的に説明不足な部分が多かったのは気になったかなぁ？
あと、殺人鬼のキャラクターがありがちな印象でやや魅力が薄かったので、その辺はちょっと残念なところではありましたよ…
総評としましては、低予算ながらも『なかなか個性的で面白い設定のサスペンススリラー映画』って感じの作品ですね。
やや凡庸なレベルの仕上がりではありますが意外性という部分ではそこそこ評価できる内容ですし、スラッシャーホラーとかが好きであればまあまあオススメできるレベルではないかと…
トム・ホランド監督らしい独特の切れ味のある内容ではありますので、監督のファンであればチェックしておいても損は無い一本だと思います。
