■■■「スケア・キャンペーン」■■■
(60点/サスペンス)
TV番組の「スケアキャンペーン」は、出演者をニセの心霊現象で驚かして、その様子を隠しカメラで撮影するという、長寿の人気バラエティ番組。
しかし最近はネタのマンネリ化や、より過激な映像を公開する動画サイトに押されて人気が低迷しつつあった。
そんななか番組のスタッフたちは、より過激な映像を撮るために、廃墟となった精神病院を撮影場所に利用し、その病院でかつて働いていた庭師のローハンという人物をターゲットとしてドッキリを仕掛ける事を思いつく。
しかし彼はスタッフの仕掛けたドッキリによって錯乱し、役者やスタッフたちに次々と襲いかかりはじめてしまい…
廃墟で『心霊ドッキリ』のバラエティ番組を撮影しようとしたところ、ターゲットの男が本当に殺人鬼と化してしまい…という設定の、オーストラリア製のサスペンスホラー映画。
お話としては『仕込みの心霊番組を撮影に行ったら本当の殺人鬼が現れました』という、設定としては割とありがちな感じの作品なのですが、全体的に構成が良く出来ていてなかなか面白い作品です。
まず最初に冒頭で『深夜勤務の病院警備員が死体安置所で幽霊に襲われる』というエピソードがあって、これが『実はドッキリ番組の仕込みでした』って感じのネタがあるのですが…
このネタが『どこまでが仕込みでどこからが真実なのか?』というのを視聴者に疑わせるような仕掛けになっていて、その設定を上手く本編の展開に活かしているのは面白いです。
基本的には低予算のB級スラッシャーホラーなのですが、『ドッキリ番組を裏方の視点から見る』という展開のため、事件が起こらないシーンでも常にお話が動いているおかげで、序盤から無駄にダラダラしているシーンが少なくお話が冗長にならずに済んでいるのも良い感じ。
お話が動き出してからも一筋縄では行かないような展開が多くて、小気味良くお話が二転三転していくので途中で退屈しないうえに、先の展開やオチがなかなか読めない作りなのも良く出来ています。
ただお話の構成や展開はなかなか面白いのですが、単純にスラッシャーホラーとして観るとやや盛り上がりに欠ける印象があるのは残念なところ。
殺害シーンが全体的にちょっと淡々としており、特に終盤にいま一つ山場となるシーンが乏しいため、もうちょっとハデな見せ場があっても良かったかも?
ラストのオチの引っ張り方とかも割と良かったので、その部分だけがちょっと残念な感じでしたよ…
総評としましては、なかなか凝った構成で『そこそこ楽しめるレベルのスラッシャー風味のサスペンスホラー映画』って感じの作品ですね。
スラッシャーホラー系の作品が好きな人であれば、ごく普通に楽しめるレベルの良作だと思いますので、その手の作品に興味があればチェックしておいても損は無い一本でしょう。
この監督はどうやら以前にうちでも感想を書いた「モーガン・ブラザーズ」を撮った監督らしいのですが、そちらも悪くない出来ではあったので、今後の活躍に期待していきたいところですよ。