■■■「フューリーズ 復讐の女神」■■■
(60点/サスペンス)
(60点/サスペンス)
高校卒業を間近に控えたケイラは、ある夜の帰り道に何者かの襲撃を受けて友人のマディと共に拉致されてしまう。
どことも知れぬ人里離れた森の奥の棺のような箱の中で目を覚ました彼女は、森の中で同じような境遇の拉致された少女たちと出会うが、彼女たちを不気味なマスクを付けた謎の殺人鬼が襲撃。
彼女は、自分たちが『森の中に殺人鬼と犠牲者として放たれる』という、何者かが仕組んだ理不尽なデスゲームに参加させられている事を知る。
なんとか襲撃を生き延びるうちに、偶然に出会った殺人鬼どうしが殺し合いを始めた現場を目撃した彼女は、このデスゲームには隠された『特別なルール』が存在することに気づくが…
『森の中で殺人鬼に少女たちが襲われる』というデスゲームの犠牲者として友人とともに拉致された少女が、なんとかしてデスゲームから生き延びようと戦う…という、スラッシャーホラー風味のサスペンススリラー映画。
いわゆる『閉鎖環境型のデスゲーム』を題材としたシチュエーションスリラー映画なのですが、なかなか個性的で面白い設定のお話です。
お話としては、基本的には『問答無用でデスゲームに参加させられた少女たちが、森の中で殺人鬼から逃げ回る』というプロットの作品なのですが、序盤から殺人鬼がバンバン襲撃してきて非常にテンポ良くお話が進んて行くうえに、殺人鬼の襲撃シーンのゴア描写がかなり過激。
ビジュアル的なインパクトも強烈で、スラッシャーホラーとしても十分に楽しめる内容となっています。
また、ここからはちょっとネタバレになってしまうのですが…
最初は、主人公たちが参加させられているゲスゲームが『人間狩りを題材としたオーソドックスなデスゲーム』かと思いきや、実は『美女と野獣(犠牲者と殺人鬼)』がペアとなって生き残る事(女性が殺されたらペアの殺人鬼も死ぬ)が裏ルールとなっており、森の中で出会った殺人鬼同士がバトルを繰り広げたり、ルールに気づいた犠牲者同士の腹の探り合いがあったり…といった感じで、サスペンスとしても先の読めない予想外の展開の連続。
前述の『犠牲者たちが襲われるゴア描写』に加えて、『殺人鬼たちの激しいバトル』なんかも見せ場として十分で、先の読めない展開も加えて見どころの多い楽しめる内容となっているのは良い感じです。
ただ、プロットやパワフルな描写やら面白い要素は多いのですが、ストーリーの細かい部分に関してはちょっとツッコミどころが多い印象。
ゲームの主催者によって犠牲者たちに施された『超技術による謎の処置』もちょっと非現実的ですし、犠牲者たちも『殺人鬼たちと戦うことや仲間を裏切ること』に対して異常に思い切りが良すぎて、全体的にちょっと違和感。
『主人公が意識障害を起こすと殺人鬼のビジョンが見える』という設定も原理が謎ですし、なんというか設定に割とアバウトな部分が多くて、全体的にお話が安っぽい感じになってしまっているんですよね…
ラストも矢鱈と急展開すぎて唐突な感じですし、もうちょっと『上手い落としどころ』があっても良かったんじゃないかという気はしますよ。
あと、主人公や犠牲者たちのバックボーンほぼ説明されないせいでキャラが薄くなっている部分があるので、もっとシッカリとキャラクターが描かれていたらお話に深みが出て良かったかも?
総評としましては、意外と良く出来た『閉鎖環境型のデスゲームものサスペンススリラー映画』って感じの作品ですね。
ややチープな感じあるものの、個人的にはサスペンスとしてもスラッシャーホラーとしても予想以上に楽しめた、なかなか掘り出し物的な作品でしたよ。
ただ、テンポも良く見どころも多くて楽しめる内容ではあるのですが、いかんせん全体的にかなりゴア描写が強めなのでグロいのが苦手な人は要注意かもしれません…