NIGHT_SHIFT (B級映画&ゲーム雑感 上井某BLOG)

上井某(家主)が観た「B級映画」(主にホラーとサスペンス)の感想と、たまにゲームとかアニメとかについてつらつらと語るブログです。

映画感想:「寄生体XXX」(50点/モンスター)

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■■■「寄生体XXX」■■■
(50点/モンスター)

 他人の姿や記憶を奪うことで悠久の時を生き続けるという寄生生物のような能力を持った『彼』は、かつて吸収したある男性の記憶の影響を受けて、男性の恋人だったジュリアという女性に恋をしてしまう。

 しかし、彼が乗っ取った肉体は一定の期間を経過すると腐敗をはじめてしまい、更には彼の老化に伴ってその腐敗のサイクルが短くなっている事に気付く。

 彼は、なんとかして自分の思いをジュリアへと伝える事が出来ないかと考え、様々な人間を乗っ取って姿を変えつつ彼女にアプローチを試みるが、彼の『老化』は予想以上のスピードで進行していってしまい…
 

 他人の姿や記憶を奪う能力を持った謎の生命体が、一人の人間の女性に恋をしてしまった事によってたどる運命…を描いた、サスペンス風味のモンスターホラー映画。

 いわゆる「物体X」のような『人体乗っ取り型のモンスター』を描いた作品なのですが、モンスターの側が主人公でモンスターの主観に立ってお話が進んでいくという、なかなか個性的な構成の作品になっています。

 最初はこの『モンスター』が何者なのかも良く分からず、様々な人間に姿を変えながら『男性のモノローグ』として主人公の心の声が語られつつお話が展開していくという感じなのですが、お話が進むにしたがって『徐々にモンスターの過去やら正体やらが明らかになっていく』という構成はなかなか面白いです。

 ただ、ネタ的には一発ネタ的なテイストが強く、どちらかというと「Xファイル」やら「アメージングストーリー」の1エピソードのような話という印象。

 お話の構成は凝っていて面白いのですが、序盤は『何者かも判然としない主人公』を中心にお話が進んでいくので、観ていてちょっとモヤっとしてしまいます。

 また、モンスターの『相手の腕をつかむだけで身体を乗っ取ることができる』という能力があまりにも強力なせいで『何でもあり』感が強くて、サスペンスとしてはいまひとつ盛り上がりに欠けるのも残念なところ。

 実際の内容の方も『モンスター映画』というよりは、モンスターである主人公の『個性』に目が当てられた『人間ドラマ』的な要素が強くなっており、モンスター映画としては非常に小粒な感じになってしまっているんですよね。

 ただ『モンスター映画としては微妙でも人間ドラマとしては面白いのか』と言われるとそれほどでも無い印象ですし、サスペンスかと思いきやラストが唐突に哲学的なノリになってしまったりと、観ていていまひとつスッキリしない映画でしたよ…
 

 総評としましては、個性的な設定ながらも、どうにも『小粒感の漂うモンスターホラー風味のサスペンススリラー映画』って感じの内容です。

 確かに面白い設定の作品ではあるので、設定に惹かれる部分があるのであれば、チェックしてみるのも良いかもしれません。

 全体的に物足りなさの残る内容なのでそこまでオススメはしませんが、気になるようでしたら『まあお好みで』といった感じの一本ですよ。