■■■「オブジェクト」■■■
(25点/モンスター)
冬が迫るアメリカ北部のメイデンウッズという小さな町で、森林で作業中の2名の作業員が行方不明となり、家畜やペットが次々と姿を消すという奇妙な事件が発生する。
保安官のポールは相棒のドニーと共に事件の調査を開始たところ、町のあちこちから森の奥まで続く正体不明の二足歩行の生物の足跡を発見。
野生保護局に問い合わせたところ、該当の生物が存在しない事から悪戯と判断して調査を打ち切ろうとするが、そんな矢先に彼自身も正体不明の生物の影を目撃する。
その頃、町の住民の間では、先住民の間に伝わる『森の奥に棲む伝説の怪物』の存在がウワサされるようになり、人々は言いようのない不安を抱くようになっていくが…
アメリカ北部の森林地帯の町に正体不明の怪物が出現し人々を恐怖に陥れるという、モンスターパニック映画。
『正体不明の怪物』に襲われる小さな町で、町を守ろうとする保安官の怪物との戦いを描いた内容で、非常にオーソドックスなサスペンス風味のモンスター映画ではあるのですが…
なんというか、ぶっちゃけて言ってしまうと『物凄く地味で辛気臭い作品』というのが正直な感想です。
お話としては、『とある保安官が町で起こる奇妙な出来事を探るうちに、『伝説の怪物』の存在を確信するようになっていくが…』みたいな感じの展開のお話。
一応はサスペンス仕立てになっているのであまりネタバレするのもアレな感じなのですが、ぶっちゃけ本作のネタバレをされたところであまり困る人は居ないと思うのでネタバレありで感想を書かせていただきますが…
ストーリーとしては、モンスターの正体を探る『謎解き』を主軸に置きながら、実際には『家族の死によってトラウマを抱えた主人公が逆境に立たされる事で再起して困難に立ち向かっていく』みたいな家族ドラマとか人間ドラマがメインとなっている印象。
怪物の正体に関する謎解き部分は、ミスリード的なノリがあったり色々と工夫されていますし、主人公や家族、相棒のキャラクター等はシッカリと掘り下げられており、人間ドラマとしてはそれなりに観れる内容になっているのは良い感じ。
ただ、いくら人間ドラマとして良く出来ていても、モンスター映画のクセに『ひたすら怪物が登場しない』せいで物凄く退屈な内容なのは困りもの。
今どきの映画にしてはあり得ないレベルで、本当にモンスターが画面になかなか登場せずに、観ていてダルくて物凄くイライラします。
というか100分近い尺がある映画なのに、モンスターが登場するのは通算5分程度で、マトモに姿が出てくるのは2分ぐらいというのは低予算映画としても流石にあり得ないレベル。
サスペンス仕立てで間を持たせようとしているものの、そもそもが『モンスターに絡んだ事件』すら殆ど起こらない(モンスターが姿を現さずに犠牲者が出るシーンを含めてもモンスターの出番が10分も無い)ため、想像力を働かせて楽しむにしても流石に限度があります。
自分は「赤毛のアン」の主人公なみに感受性が豊かな訳じゃないので、割と本気で途中で投げ出したくなりましたよ…
人間ドラマを丁寧に描くのは結構ですが、モンスター要素がここまでお粗末だとモンスター映画としての評価は厳しくならざるを得ません。
ちなみにモンスターの正体に関しては、明言はされてないですがアメリカ北部の先住民に伝わる怪物『ウェンディゴ』っぽいのですが、ウェンディゴを扱ったモンスターホラー自体があまり無いため、モンスターの題材としては割と珍しい作品と言えるかも?
まあそれだけで観る価値があるとも思えないですし、人間ドラマ主体の割と良い話っぽいオチかと思わせて『なんじゃそりゃ?』系のお約束のオチだったりと色々と酷い内容なので、正直あまりオススメは出来ないかなぁ…
総評としましては、どうにもこうにも『ひたすら地味で盛り上がる要素の無いモンスターホラー映画』って感じの作品です。
一応、25点と評価していますが、20点は『そこそこ観れる人間ドラマ』の部分の配点でモンスター映画としては5点ぐらいの内容なので、モンスター要素に期待する人には微塵もオススメできません。
クソ映画として観ようにも、お話自体がシリアスで地味な内容のためネタとして楽しむ要素もありませんので、よほどどこかに監禁でもされて他に何の娯楽も無いような極限的にヒマな状況ででも無ければ普通にスルーしてしまって良い一本ではないかと…