■■■「マー サイコパスの狂気の地下室」■■■
(55点/サスペンス)
オハイオの田舎町に転校してきた高校生のマギーは、転校早々に知り合ったクラスメイトから仲間内のパーティへと正体される。
お酒の買い出しの担当になった彼女は、酒を代わりに買ってくれるようにお願いした事をきっかけに孤独な中年女性のスー・アンと知り合い、彼女の好意で郊外にある彼女の家の地下室をパーティに利用させてもらう事となる。
スー・アンは、彼らに自分のことを『ママ』と呼ばせ、『決して上の階に上がって来ない事』を条件にすれば、自由に地下室を使って良いと彼らに告げたことから、彼らは仲間たちとともに何度か彼女の家をパーティを開く。
しかし、異常に自分の身の上の詮索を嫌ううえに、執拗にライン通知を送ってきたりと不審な態度の多いママに対して、マギーたちは徐々に不信感を抱くようになっていき…
高校生たちが町で出会った『寂しい中年女性』の家の地下室をパーティ会場として利用させて貰うようになるが、彼女には実は恐るべき秘密があり…という感じの設定のサスペンススリラー映画。
佳作のサスペンスやらスリラーをコンスタントに提供してくれることでお馴染みの『ブラムハウス』による新作で、今回もご多聞に漏れず佳作レベルの仕上がりの作品という印象ですね。
お話としては『とある高校生のグループが、町で偶然知り合った「寂しい中年女性」の家の地下室を借りてパーティをするようになるんだけど、この女性が実はストーカー気質の変人で関わっていくうちに恐るべき事件へと巻き込まれていく…』みたいな感じの展開。
中年女性のマーは、一見は渡辺直美っぽい雰囲気の気のいいオバサンなんだけど、実はストーカー気質で主人公たちの身辺を勝手に調べて付け回したり、大量のラインを送りつけたりするという異常に粘着質な感じが、妙にリアリティがあって不気味で良い感じですね。
また、内容的にはスリラー要素よりも人間ドラマ要素が強めな印象で、『何でマーの性格がここまで歪んでしまったのか』等を過去のエピソードなんかを踏まえて描いており、キャラクターがシッカリとしていて殺人鬼の側にも同情できるような作りになっているのも悪くありません。
ただ、この『マーのキャラクターの掘り下げ』にかなりの時間を割いているせいで、人間ドラマとしては悪くないもののスリラー要素の方はちょっと薄めな感じ…
終盤のお話が動き出してからはスリラーとしても面白くなるのですが、序盤~中盤にかけての展開はちょっと冗長な印象を受けてしまいましたよ。
また、マーのキャラクターの掘り下げに時間を割いているせいか、主人公である筈の高校生たちのキャラが薄めになってしまっているのも、ちょっと気になるところ。
しかし、この終盤のシーンで見せるマーの『残虐ファイト』っぷりは、いちいちやる事がエグいうえに犠牲者に対して全く容赦がなくて、『ガチのサイコパスっぽさ』を感じさせてくれる描写なのは怖くて良い感じ。(特に『輸血』はかなり嫌な感じがして良かったです。)
ラストのオチはやや唐突な雰囲気もあるものの、落としどころや印象的な引きは悪くなかったですので、全体的にホラー要素なりスリラー要素なりにもうちょっとパワフルな描写でもあれば、もっと良くなったんじゃないかなぁ?
そう考えると、ちょっと惜しさを感じるところのある作品でしたよ…
総評としましては、『そこそこ良く出来たサスペンススリラー映画』という感じの作品ですね。
強く推すほどではないものの、マーのキャラクターやら、ガチのサイコパスらしい狂気描写やら、それなりに観るべき要素もある感じの内容という印象。
やや物足りなさもあるものの、いつものブラムハウスらしい『安定的な面白さの佳作レベルの作品』ではありますので、気になるようであればチェックしてみても損はない一本ではないでしょうか?