NIGHT_SHIFT (B級映画&ゲーム雑感 上井某BLOG)

上井某(家主)が観た「B級映画」(主にホラーとサスペンス)の感想と、たまにゲームとかアニメとかについてつらつらと語るブログです。

映画感想:劇場にて「事故物件 恐い間取り」を観てまいりました。

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 デビューから10年経つもお笑いコンビとして芽が出ずに売れない芸人の山野ヤマメは、相方の中井の提案でコンビを解散。


 ピンでやっていくことになったものの特に仕事の取れない彼は、放送作家へと転向した中井の思い付きから、バラエティー番組の1コーナーとして『曰くつきの事故物件に住んで心霊映像を撮る』という無茶ぶりの企画に参画することとなる。


 そして、最初の物件で首尾よく『奇妙な現象』の映像を偶然にもカメラで捕らえることによって番組で成功を収めた彼らは、更に企画を盛り上げるべく新たな『事故物件』を探して取材を続行。


 しかし『事故物件』を渡り歩いた彼らの周りには、徐々に奇妙な現象が多発するようになっていき…

 


 劇場にて「事故物件 恐い間取り」を観てまいりました。


 「リング」中田秀夫監督による新作ということで、鳴り物入りでいかにも『物凄く怖い映画』って感じでCMされている作品ですが…


 『怖いか怖くないか』と聞かれると、ぶっちゃけあまり怖くない作品なのですが、『面白いか面白くないか』と聞かれると『予想以上に面白かった作品』というのが正直な感想ですね。


 実際に「事故物件」を渡り歩く芸人が体験した『実話』がベースとなった作品という事で、芸人さんの実際の『体験談』を元に肉付けされてストーリーが描かれているという感じの内容なのですが、この『肉付け』部分のドラマの脚本が非常に良く出来ています。


 まず、主人公たちのキャラ付けやお話の背景が非常にシッカリとしており、主人公たちがいかにしてこの『事故物件企画』に参画することとなるか…という辺りが丁寧に描かれており、ドラマとしてリアリティを感じさせる構成になっているのは良い感じ。

 霊感のあるヒロインの存在や、そのヒロインと主人公の恋愛的なドラマも蛇足感がなく無理なくお話に組み込まれており、メインの登場人物の全員が魅力的で好感を抱けるような作りになっているのが上手いです。


 チョイ役の『不動産屋のオバサン』とか『怪しげな霊媒師』といった脇キャラも非常に個性的で良い味を出してるのも良いですね。


 また、序盤の割とどうでも良さそうな『小ネタ』やら『エピソード』やらが、実は終盤で思いがけない『伏線』として回収されるという展開が非常に良く出来ており、全体的に『物凄く無駄のない脚本』という印象。


 終盤での予想外の『ハリウッドホラーばりの派手な展開』も熱くて良い感じですし、ともすればハチャメチャになりそうな終盤の展開が、この伏線のおかげで『説得力のある内容』になっているのは、素直に感心させられました。
 (「犬鳴村」も終盤はハチャメチャな感じの派手な展開だったので、最近のJホラーはこういうノリが流行ってるのかしらん?)


 主人公が事故物件を転々と渡り歩くことで、オムニバスホラー的なテンポの良い流れになっているのも良い感じですね。


 ただ、映画のストーリーとしては非常に良く出来ているのですが、前述のとおり『怖さ』という点に関してはそれ程ではないのは残念なところ…


 元々が実話をベースとしているだけあって過剰な演出やら派手な展開は控え目で、特に中盤までの展開はホラーとしてはむしろ地味な感じなので、Jホラーらしい『ビジュアル的な怖さ』を期待していると、ちょっと肩透かしを食らってしまうかも?


 逆に終盤は『超展開』的な派手な内容でインパクトがあるので、メリハリが効いているとも取れるのですが、全体的にもうちょっとビジュアル的な怖さがあっても良かったかな?とは思いましたよ。


 でもまあ単純なハッピーエンドにならないラストの『オチの落としどころ』も上手いですし、ベースとなった体験をした『芸人さんの撮った写真』とかをエンディングで流す構成も、作中のエピソードにリアリティやらが感じられて、いかにも『怪談』らしい雰囲気があって良かったです。

 


 総評としましては、予想以上に良く出来た『佳作レベルのオカルトホラー映画』という感じの作品でした。


 Jホラー的な『ジメっとした怖さ』は薄いものの、むしろハリウッドホラー的な『ドラマとして作り込まれた面白さ』が感じられる作品だったので、洋物ホラーとかが好きな人の方がハマる内容かもしれません。


 個人的には、なかなかの良作という感じで『予想以上に楽しめた作品』でしたので、予告とかCMとかで気になっているのであればチェックしておいて損はない一本だと思いますよ。