■■■「バトル・インフェルノ」■■■
（５５点／オカルト）
悪魔祓いに憧れる元神父のマックスは、幼馴染のドリューと共にヤラセで悪魔祓いを行う「除霊の時間」というネット番組を生配信し、有名配信者として人気を博していた。
そんなある日、悪魔に取り憑かれた人間役の女優が現場に訪れないというトラブルが発生。
ドリューは、自分の婚約者であり演劇の経験のあるレーンに急遽の代役を頼むこととなる。
なんとか無事に放送を開始した彼らだったが、本番が開始して以降、レーンはこちらの指示を全く聞かずに、まるで本物の悪魔に取り憑かれているかのような異常な行動を取り始め…
ヤラセの『悪魔祓い』を実況配信する人気番組の主役である元神父が、番組の最中に本当に出現した悪魔と戦うことになってしまう…という、悪魔祓いもののオカルトホラー映画。
『悪魔祓いチャンネル』を運営する元神父の俳優が『本物の悪魔』と戦うことになってしまうというと、なんとなく佳作バトルホラー映画である「フライトナイト」を髣髴（ほうふつ）とさせるような設定の作品です。
本作に限らず割と良くある設定ではありますが、エセ神父やエセ霊能者が紆余曲折を経て『心機一転してガチのバトルに挑むことになる』という展開は、なかなか熱くて盛り上がるものがありますよね。
本作もご多分に漏れず…といった感じのノリの内容で、設定やらプロットやらは非常に良い感じ。
最初から割と派手な展開の連発で導入部分も面白くて、なかなか期待の持てそうな雰囲気を漂わせてくれます。
（というか、このエセ神父たちのやってる『悪魔祓いの番組』が異常なレベルで特撮とかが本格的で、『こんな番組があったらエセと分かってても毎週見ちゃうわ！！』って感じ。）
ただ、プロットは抜群に面白いのですが、肝心の『悪魔との対決』の部分がいま一つ面白みに欠けるのは困りもの。
最初の『犠牲者が悪魔に取り憑かれていることが判明するまで』の部分に見せ場が集中してしまっており、なぜか悪魔が本格的に登場してからの中盤からの展開がちょっとダルいんですよね。
主人公たちは、悪魔祓いのお約束に従って『悪魔の真名』と突き止めようとしながら戦っていくのですが、舞台が生配信の撮影スタジオに閉じられているため、お話に広がりか感じられなくてどうにも展開が全体的に地味。
対決も会話劇を中心に進められていく感じなせいで、いま一つ盛り上がりません。
戦いの中で悪魔が主人公たちに『罪の告白』を要求するみたいな流れなのですが、この告白の内容がしょうもないものが多く、一番の目玉と言える『主人公の過去にまつわる秘密』も、告白したことで主人公がトラウマを乗り越えるとかって訳でも無くて扱いが扱いがやや中途半端な印象。
キャラの掘り下げが薄いせいか主人公たちのキャラにもそこまで魅力がないですし、生配信を活用して視聴者の声援で力を得るとかって感じの展開になるのかと思えばそうでも無くて、なんか全体的にカタルシスが薄いです。
終盤の展開とかはなかなか熱くて良いのですが、ラストはちょっと蛇足気味で『だから何だよ？』みたいな感じ…
あれなら普通にハッピーエンドで後日談みたいなのがあった方が良かったんじゃないかなぁ？
総評としましては、悪くはない部分もあるものの『いま一つ盛り上がりに欠けるバトルアクションものオカルトホラー映画』って感じの作品ですね。
プロットの面白さやら一部の見せ場やらに、それなりに見どころはある感じですので、こういう『エセ神父がガチで悪魔や魔物と戦う』みたいなノリの作品が好きであれば、チェックしてみても良いかもしれません。
でもまあ、物足りなさもあってそこまでオススメするほどの内容でもないので、まあ『お好みで』という感じの一本ではないでしょうか？
