NIGHT_SHIFT (B級映画&ゲーム雑感 上井某BLOG)

上井某(家主)が観た「B級映画」(主にホラーとサスペンス)の感想と、たまにゲームとかアニメとかについてつらつらと語るブログです。

映画感想:「カラー・アウト・オブ・スペース -遭遇-」(55点/オカルト)

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■■■「カラー・アウト・オブ・スペース -遭遇-」■■■
(55点/オカルト)


 ネイサンとテレサの中年夫婦は、大都会の騒がしい生活から逃れるために魔女伝説の残る片田舎のアーカムの町へ、3人の子供たちと共にと引っ越してくる。


 田舎で落ち着いた暮らしを始めた彼らだったが、そんなある日に彼らの家の前庭に奇妙な『ピンク色の光』を放つ隕石が落下。


 驚いた彼らは警察へと調査を依頼するが、数日後にその隕石は忽然と消滅してしまう。


 そして、それ以降、庭に見たことも無いような植物が繁茂したり奇妙な虫が出現したりといった現象が発生。
 愛犬や家畜のアルパカも奇妙な行動を取るようになっていく。


 更には、携帯やテレビが謎の電波を受信するようになっていき、やがて『ピンク色の光』による環境の変化は家族の精神をも徐々に狂気へと蝕んでいくのだった…

 


 宇宙から飛来した『ピンク色の光』を放つ謎の隕石のによって、住民たちの精神と肉体が徐々に蝕まれていく…という、SF(というかコズミックホラー)風味のオカルトホラー映画。


 いわゆるクトゥルフ神話体系』でおなじみのH・P・ラヴクラフトの小説である「宇宙からの色」を原作とした作品で、クトゥルフ神話』を題材とした作品ですね。


 自分はラヴクラフトの小説はそこそこ読んでおり、本作も原作を読んだ記憶があるのですが、随分と前に読んだきりなので細かい内容までは良く覚えていないものの、それでも『こんな話だったっけ?』とかなり違和感を感じてツッコミを入れたくなるようなレベルで、あんまり原作には忠実に作られていない印象。


 ただ原作とかなり違う話になっているとはいえ、クトゥルフ神話といえば『宇宙的恐怖によって人々の心が狂気に蝕まれていく』というのがテンプレートとなっているため、そういうテイストは割と良く出ているかも?


 お話としては『謎の「ピンク色の光」を放つ隕石の落下を契機として、その周辺の環境が不気味に変化しはじめてそこに住む一家も精神に異常を起たしていく…』みたいな感じの、割とホントにそれだけの展開。


 ただ、この環境の変化というのがなかなかとんでもないシロモノで、最初は庭に『どこの未知の惑星だよ?』とツッコミを入れたくなるような、謎の植物や生物が出現するといった程度なのですが、後半になるとアルパカは「物体X」みたいな異様な姿に進化するわ、奥さんと末っ子は大変なことになるわ…といった感じで、異常現象のエスカレートっぷりがなかなか強烈で楽しませてくれます。


 この『環境の変化』のビジュアル的なインパク抜群で、『そりゃこんな現象が連発して起こったら精神もおかしくなるわ』という意味での説得力はある意味で凄いので、その映像作品ならではの狂気具合は一見の価値あり。


 ただビジュアル的なインパクトは凄いのですが、本作がオカルトホラーとして面白いかと言われると微妙なところなんですよね。


 主人公たちが『どんどん頭がおかしくなっていく』という展開のせいもあって、全体的にストーリーが理不尽でグテグテ気味で、なんというか釈然としない展開が多い。


 また原作からし割と投げっぱなし気味な内容クトゥルフ神話の作品は全般的にそうですが)なこともあって、それと同様に映画の方も投げっぱなしな感じの展開ですし、モンスターとかもハッキリとした姿が描かれない(原作からして『不可知のモンスター』という設定なので)事もあって、ちょっと盛り上がりに欠けるんですよね。


 どうせストーリーをアレンジするなら、この辺はもうちょっと分かりやすいストーリーにしても良かった気がしますよ…

 


 総評としましては、なんだか良く分からない感じの『SFサスペンス風味のオカルトホラー映画』って感じの作品です。


 映像的にも美しいですしビジュアル的なインパクトはなかなか強烈なので、ビジュアル重視の狂気映画を観てみたいのであれば、チェックしてみても良いかもしれません。


 『クトゥルフ神話』として観ると、そこまでクトゥルフテイストが強く無くやや物足りなさを感じる部分もありますし、単純にホラーとしてもグテグテ感が強い内容ですので、気になるようであれば『まあお好みで』という感じでしょうか…