NIGHT_SHIFT (B級映画&ゲーム雑感 上井某BLOG)

上井某(家主)が観た「B級映画」(主にホラーとサスペンス)の感想と、たまにゲームとかアニメとかについてつらつらと語るブログです。

映画感想:「ナイトメア・ビーストと迷宮のダンジョン」(50点/オカルト)

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■■■「ナイトメア・ビーストと迷宮のダンジョン」■■■
(50点/オカルト)

 ある日、作家のナンシーは元夫で不動産屋のピートから、格安で新居を借りる事となる。

 その家は、昔からある奇妙な幾何学模様のような壁画の書かれた地下室の上に建てられており、契約条件として『地下室を改装してはならない』という奇妙な条件の物件だった。

 契約内容は気にせずに新居で暮らし始めたナンシーだったが、この家に来てから不思議な異次元世界へと飛ばされる夢や奇妙な現象に悩まされるようになり、妹のケリーへと相談する事となる。

 話を聞いて姉を心配したケリーは彼女の家に泊まりにくる事となるが、深夜に姉が壁の中に吸い込まれて姿を消すという現場を目撃し…



 謎の古代遺跡の上に建てられた新居に住む事となった作家の女性が、夢の中で奇妙な異世界に飛ばされて恐るべき体験をするという、クトゥルフ神話をベースとしたオカルトサスペンス映画。

 なんでもH.P.ラブクラフト原作の「魔女の家で見た夢」をベースとしたオカルト作品という事で気になって借りてみたのですが…

 観る前に作品について調べてみたら、Z級作品の「ジュラシック・ビースト」や「ビッグフットvsゾンビ」でお馴染みのマーク・ポロニアが制作に加わっている作品という事で、別のベクトルで妙な方向に期待の持てる作品となってしまいました。

 お話としては『とある作家の女性が新居に引っ越してくるんだけど、実はその家は地下室で古代の超次元的な儀式が行われた場所で、その影響で異次元へと飛ばされてしまい…』みたいな感じの内容。

 お話としてはクトゥルフ神話「魔女の家で見た夢」をベースとしているという事ですが、まあ確かに『こんな感じの話だったなあ?』っていうような内容で、そこまで原作無視という作りではないのは好感触。

 ただ件のマーク・ポロニアが関わっている作品だけあって、これがまたビックリするぐらいの低予算映画という印象。

 ストップモーションアニメで作られたモンスターは安っぽすぎて逆に郷愁を誘うような感じですし、明らかな『絵』を背景にCG合成した異世界の映像70年代ぐらいのTV番組を連想させるような完成度で逆に驚かさせられるレベル。

 ただ、だからといって完全にダメな映画かというとそうでもなく、この妙な安っぽい映像がむしろ原作のH.P.ラブクラフトの『理不尽な異次元世界』の表現と妙にマッチしてて、逆に『あまり違和感を感じさせない』という奇跡のような組み合わせの作品となっているんですよ。

 主演女優の、物凄くモッサリとしたアクションも『夢の中の世界のもどかしさ』を表している感じで、映像も内容も全体的に『物凄くショボい』んだけどなんとなく納得して観れてしまうのは、ある意味で凄いです。

 ただショボさが世界観にマッチしているからといって、本作が面白いかと言われるとそれはそれで微妙なところ。

 ストーリーに関しては、原作からし『異次元を行ったり来たりする』って程度の話で、たいして盛り上がる内容でもないのでむしろ上手くアレンジした印象はあるのですが、基本的にショボい映画なうえにたいして盛り上がる要素も無くて全体的に面白味に欠けます。

 ただまあ、怪物とか異次元世界の映像とかが割とひんぱんに出てくるので、比較的テンポが良くて、そこまで退屈しないで観れるのは良い感じと言えるかも?

 ラストの『事件の黒幕』みたいなキャラはちょっと蛇足だったと思うけど、オチの落としどころを考えたらまあ悪くなかった設定なのかなぁ…


 総評としましては、ビックリするほどショボいんだけどそれなりに楽しめて楽しめてしまうという『不思議なノリの超低予算のオカルトホラー映画』って感じの作品です。

 マーク・ポロニア監督の超低予算系お馬鹿映画とかが好きであれば、そこそこ楽しめる怪作という感じではありますので、その手のZ級作品とかが好きであればチェックしてみても良いかもしれません。

 ちなみに、邦題を微妙にファミリー向けっぽい感じにしているのはどういう方向性を狙ったのかは分かりませんが、それならばいっそクトゥルフ神話がベースだってのを押し出した方が良かったんじゃないかなぁ…』という気がするのは自分だけですかね?