NIGHT_SHIFT (B級映画&ゲーム雑感 上井某BLOG)

上井某(家主)が観た「B級映画」(主にホラーとサスペンス)の感想と、たまにゲームとかアニメとかについてつらつらと語るブログです。

映画感想:「ウィッシュ・ルーム」(65点/サスペンス:結構オススメ)

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  ■■■「ウィッシュ・ルーム」■■■

(65点/サスペンス:結構オススメ)

 

 都会から片田舎の古びた屋敷へと移り住むこととなった画家のマットと妻のケイトは、引っ越し後の荷物の整理中に家の中に巨大な鉄の扉で閉ざされた奇妙な隠し部屋を発見。

 

 その部屋は、名画でも豪華なドレスでもお金でも『欲しい』と口に出した『物』が突如として目の前に現れ、何でも手に入るという驚くべき力を秘めた部屋だった。


 部屋の事を不気味に感じながらも、お金や宝石、高級な料理等の様々なものを欲望のままに出して楽しむ夫妻だったが、虚構の贅沢にずぐに虚しさを覚えるようになっていく。


 やがて、2度の流産で長年子宝に恵まれなかった妻のケイトは、子供を切望するあまり『部屋の力』を使って自分たちの『子供』を作り出してしまうが、部屋で作り出されたものは家から持ち出した瞬間に急激に劣化して消え去ってしまう事が判明し…

 


 町はずれの古びた屋敷に引っ越してきた夫婦が『どんな物でも作り出せる部屋』を発見し、そこで自分たちの『子供』を作り出してしまったことから思いがけない運命に翻弄されていく…という、ダークファンタジー風味のサスペンス映画。


 『どんな物欲でも叶う部屋』を見つけてしまった夫婦が、自らの欲望を満たし続けるうちにたどる運命…という、なんとなくトワイライトゾーン」とか「世にも奇妙な物語」の1エピソードのようなお話ですが、なかなかに面白い設定のサスペンス映画という感じの作品です。


 お話としては、『とある夫婦が「どんなものでも作り出せる部屋」を見つけて贅沢三昧の暮らしを楽しむが、それでは欲望が満ち足りずに自分たちの「子供」を作り出してしまった事から悲劇が始まってしまう…』みたいな感じの展開。


 いわゆる「三つの願い」の寓話等に代表されるようなプロットで、人間の『欲の果てしなさ』や『業の深さ』といったものを風刺しつつ、親子の愛情やら愛憎劇やらを盛り込む事でそれだけでは終わらないお話になっているのは、コテコテな雰囲気ながらもなかなかに面白いですね。


 序盤~中盤までは、いわゆる欲望に対するカリカチュアを題材としたダークファンタジーなのかと思わせつつ、『子供』が登場する中盤以降は『屋敷の過去』に秘められた謎を追っていくサスペンス展開を絡めつつ、全く先の読めない展開へと突入していくのはプロットとして良く出来ています。


 古びた屋敷やら、地下室にあるエイリアンの作った古代遺跡のようなデザインの『謎の装置』も良い雰囲気を出しており、雰囲気映画としても割と良い感じ。


 また家族愛を題材にした物悲しい感じの展開も良い味を出しているのですが、終盤は盛り上げようとして色々詰め込みすぎたせいで逆にちょっとチープな感じになってしまった感があるのは、ちょっと残念なところかなぁ?


 ラストのオチもちょっと蛇足な印象だったので、後半の展開は捻り過ぎずにもうちょっと素直なサスペンス作品としてまとめておいた方が良かったような気がしますよ。

 


 総評としましては、あまり話題になってないものの『意外と良く出来たダークファンタジー風味のサスペンス映画』という感じの作品ですね。


 「世にも奇妙な物語」的な、ちょっとブラックな感じのダークファンタジー作品が好きな人であれば割と刺さりそうな作品だと思うので、そういうノリが好きであればオススメ出来る内容ではないかと…


 やや物足りなさもあるものの良く出来ている部分も多いので、設定とかが気になるようであればチェックしておいて損は無い一本だと思いますよ。