NIGHT_SHIFT (B級映画&ゲーム雑感 上井某BLOG)

上井某(家主)が観た「B級映画」(主にホラーとサスペンス)の感想と、たまにゲームとかアニメとかについてつらつらと語るブログです。

映画感想:「ココディ・ココダ」(45点/サスペンス)

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■■■「ココディ・ココダ」■■■
(45点/サスペンス)


 不幸な事故で幼い娘を失ったトビアスとエリンの夫婦は、心の傷を癒して夫婦の関係を修復するためにバカンスに出かける事となる。


 しかし、キャンプ中に森の中で猟犬を連れて奇妙な扮装をした3人組みの男女に遭遇。
 彼らは、会話の余地もなく3人組みによって惨殺されてしまう。


 更に死んだはずの彼らが目を覚ますと殺害される当日の朝に時間が巻き戻っており、『目覚めては延々と殺害され続ける』という謎のループに陥っている事に気づいた彼らは、なんとかしてそのループから抜け出そうとするが…

 


 娘を失った事によって関係の破綻してしまった夫婦が、バカンスの最中に謎の3人組みに遭遇し時間ループによって延々と殺害され続ける…という、サイコホラー風味のサスペンススリラー映画。


 最近流行りの、いわゆる『時間ループ系』のサスペンススリラー映画なのですが、特にSFとかオカルトという感じの内容ではなくて、どちらかというと雰囲気映画というか、内宇宙的な心理劇を題材とした感じの作品という感じですね。


 というか分かりやすい言い方をするなら、いわゆる『カルトムービー』というか、ちょっと独特のテイストと世界観を持った電波系的なノリの作品です。


 カルト作品らしく雰囲気作りは良い感じで、森の中に唐突に現れるサーカス一座のような『時代錯誤で場違いな服装をした3人組みの殺人鬼』も不気味ですし、主人公たちを殺害する目的も一切不明で、全く話の通じ無さそうな印象なのも怖いです。


 謎の『時間ループ現象』に関する説明も一切なく、ブツ切り的な演出も唐突感があって不安をあおりますし、ところどころで挿入される影絵を用いた寓話のような寸劇も印象的。


 最初の『娘の死』を描いた場面も、割とトラウマに残るようなテイストですし、カルト風味の雰囲気映画としてはなかなか良く出来ています。


 ただ雰囲気は良いのですが、全体的にカルトテイストが強すぎてストーリーがいま一つ良く分からないのは困りもの。


 お話のなかで、状況を説明するようなセリフやら主人公たちが心情を語るようなセリフが殆ど無いため、主人公たちが時間のループをどのていど理解しているのかも不明だし、それに対してマジメに対策を立てようとしている雰囲気や危機感的なものもあまり感じられないんですよね。


 謎の3人組による殺害シーンも妙に淡々としていて、イムループで延々と殺害されててもいま一つ盛り上がりませんし、上記の危機感的な理由も含めて全体的に緊張感が薄くてテンポが悪く、途中でちょっとダレてしまいましたよ。


 一応、ラストで『謎の3人組み』の正体っぽいのは明らかになって、そのお陰でSFやオカルト的な話ではなくて『”娘の死”に囚われて抜け出せなくなった夫婦』といった心理劇的な暗喩なのかな…というのは想像できるのですが、それを踏まえても影絵パートの『フェニックスの寓話』はちょっと意味不明。


 正直に言って自分の読解力では良く分からない部分が多すぎたので、もうちょっと分かりやすい説明があるか、『謎の現象』のバックボーン的な設定があってくれた方が説得力があって良かったんじゃないかなぁ…(例えば実は事故の昏睡状態で悪夢を見ている等)って感じの作品でしたよ。

 


 総評としましては、良い意味でも悪い意味でも『イマイチ良く分からないカルトテイスト強めのサスペンススリラー映画』って感じの作品です。


 カルト風味の雰囲気映画が好きであれば、まあまあオススメできる内容だとは思うのですが、逆にそういうノリが苦手だとちょっと辛い映画という印象かなぁ?


 特に『タイムループもの』的なノリに期待してると、ちょっと肩透かしを食らわされてしまうかもしれませんので、そういう方面で作品をチェックしようとしている場合は要注意かもしれませんよ。