NIGHT_SHIFT (B級映画&ゲーム雑感 上井某BLOG)

上井某(家主)が観た「B級映画」(主にホラーとサスペンス)の感想と、たまにゲームとかアニメとかについてつらつらと語るブログです。

映画感想:「ザ・パージ:魔法少女狩り」(35点/サスペンス)

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■■■「ザ・パージ:魔法少女狩り」■■■
(35点/サスペンス)


 魔法や魔女が実在し、魔女は発見され次第、火あぶりで処刑されるという恐るべき法に支配された並行世界のアメリカ。


 女子高生のクレアは友人にも言えない秘密があった。
 それは、母親のマーサが魔女の『逃がし屋』として、魔女たちの国外逃亡への手助けという秘密の仕事をしている事だった。


 そんなある日、同じ年頃の魔女フィオナとその妹のシェイを自宅にかくまう事となった彼女の家族だったが、それを契機にクレアにも魔女の遺伝子が引き継がれている事が判明。


 やがて魔法捜査局の捜査は、彼女たちの元へも及ぶようになり…

 


 魔法が実在し現代でも『魔女狩り』が行われ続けている異世界アメリカで、魔女の力に目覚めた2人の少女が自由を求めて逃亡をする…という、オカルト風味のサスペンス映画。


 タイトルに「ザ・パージ」とかってタイトルが付いていますが、当然ながら本家の「パージ」シリーズとは何の関係も無い、『魔女狩りの風習が残る異世界アメリカ』が舞台となったオカルトサスペンス映画ですね。


 ただ、一応はオカルトサスペンスの体裁を取っていますが、実際にはオカルト要素もサスペンス要素もかなり薄めで、魔女の力に目覚めた2人の少女の出会いとか心の機微を描いた青春ドラマ的な要素の強いお話という印象。


 現代でも『魔女狩り』の制度が残り、根強い『魔女差別』と迫害が行われているアメリという世界観はなかなか面白くて、魔女を見つけ出すために学校で『水没試験』(魔女は重りつけて沈めても水に浮かぶという迷信があるため)を行って魔女を探し出そうとしたり、魔女を見つけた捜査官が現場判断で問答無用で火あぶりにしたり、根強い魔女への差別心を政治的なプロパガンダに利用したりする世界という設定は個性的で悪くない印象。


 ただ世界観は悪くないのですが、それ以外の部分がどうにもダルい作品というのが正直なところなんですよね。


 お話の展開が非常に遅く、殆どのシーンが主人公の学園生活やらをダラダラと描いているだけなので、とにかくテンポが悪いです。


 主人公の秘密が明かされるのも殆ど最後の方だし、主人公と魔女の少女の出会いを描いた『ガール・ミーツ・ガール』的な友情を描いた作品としても、ヒロインたちの絡みが意外と薄くて面白味に欠ける印象。


 途中でちょこちょこと挿入されるオカルト要素も、あっても無くても良いようなレベルなうえに伏線っぽく描かれてる割には『主人公の出生の秘密』とかとの関連性も良く分からないですし、どうにも中途半端なんですよね。


 方向性としては、人種差別やらジェンダー差別やらの『不条理な差別』に対する風刺や批判的な意味を込めて作られた内容なのかもしれませんが、そういうテーマ性も薄くて、狙っている方向性がいまいち良く分かりませんでしたよ…


 ラストの作中でも語られた某映画のオマージュ的なオチは悪くなかったですが、それ以外の部分が退屈すぎて正直辛い映画でした。

 


 総評としましては、どうにも『テンポが悪くて盛り上がりに欠ける低予算オカルトサスペンス映画』って感じの作品ですね。


 独特の世界観は悪くは無いのですが、友情ものとしても弱いですし、テーマ性の強い風刺作品としても弱いですし、正直に言ってあまり推すような要素は無いかなぁ…


 個人的には、よほど気になっているとかでなければ普通にスルーしてしまっても問題の無いレベルの一本だと思いますよ。