■■■「ジュラシック・ツアーズ」■■■
(40点/アクション)
近未来、恐竜が生き残る自然保護区では、全世界から集まった大富豪の好事家たちによる12人のハンターが保護区に侵入して恐竜狩りを行う『ジュラシック・ハント』と呼ばれるツアーが極秘裏に開催されていた。
政府の捜査官であるパーカーは、違法ツアーの内容を調査するために極秘裏にツアーへと潜入して、その内容を小型カメラで録画しようとするが、彼女の正体に気づいた主催者のリンドンは彼女を亡き者とするために罠を張り巡らせるのだった…
違法で行われる『恐竜狩り』のツアーに参加した潜入捜査官の女性が、恐竜の襲撃や運営者の罠から生き延びるために戦う…という、恐竜パニックものアクションホラー映画。
一応、『恐竜狩りを題材としたサバイバルアクション』っぽい内容なのですが、色んな意味で『非常にアバウトで適当に作られた映画』という印象。
何がテキトーかというと、まあとにかく設定が全てにおいて物凄い適当。
主人公たちは『恐竜が生息する自然保護区』で極秘裏に違法の恐竜狩りを行うツアーの参加者という感じなのですが、そもそも『何で恐竜が生き残っているのか』の説明が一切なし。
この世界が、現在の地球とは別の『絶滅寸前の恐竜が生息するパラレルワールド的な世界』なのか、もしくは『何らかの遺伝子操作によって恐竜が蘇った世界』なのか…といった背景の説明が無いままに、いきなり『恐竜狩りツアー』が開催されるので、最初から説明不足すぎて何だかモヤモヤしてしまいます。
(もしかしたら実は前作があって、なんかの続編という位置づけなのかしらん?)
ツアーの参加者も『恐竜狩りを極秘に楽しみたい大富豪』みたいな設定の割には、中東や湾岸戦争の帰還兵とかが何人も居て設定がブレまくり…(『金持ちが用心棒として帰還兵を雇った』とかならともかく、普通の帰還兵に自主的に参加できるような経済力があるのか?)
恐竜を繁殖させて密猟させてる『悪の組織』っぽいのも活動が物凄い大雑把で、参加者を監視するための監視ドローンが何故か1機しかなくて撃墜されたら監視が行えなくなったり、組織のボスが恐竜が大量に徘徊する保護区に護衛を一人だけつけてノコノコと乗り込んできたりと、行動がマヌケすぎ…
まあ、B級パニック映画にそこまでリアリティとかを求めるつもりも無いのですが、割とマジメそうなストーリーの作品でここまで設定が適当すぎると、脳内で整合性を取るのも限度があるので、もう少しマジメにやっていただきたいところです。(最初からバカ映画みたいなノリならば逆に気にならないんですが…)
ちなみに設定以外の部分が良く出来ているかと言われると、その部分に関してもぶっちゃけ微妙。
恐竜は『別の映画やCG素材の使いまわし』っぽい雰囲気が漂う出来で、登場する恐竜の種類も完全に「ジュラシック・パーク」の二番煎じで、面白味が感じられないのが残念なところ。
CGも浮きまくりのせいで、襲撃シーンにもいま一つ迫力がありません。(まあでもキチンと人間との絡みがある辺りは、低予算映画としては頑張ってる方かな?)
とりあえず全体的にテンポが良いのは評価できますが、テンポが良い割にはアクション描写とかも全体的に地味でどうにも盛り上がりに欠けるんですよね。
ラストの『恐竜大集合』みたいなシーンはちょっとだけ迫力がありますで、もうちょっと見せ場になるシーンが多ければなぁ…という感じ。
あまり『何の解決もしてなさそうなオチ』も微妙ですし、どうにも全体的にスッキリしないパニック映画でしたよ。
(そもそも『恐竜自然保護区』の設定がハッキリしてないので、どうなれば捜査官である主人公の勝利なのかが釈然としないですしね…)
総評としましては、『微妙でモヤっとした気分になる恐竜パニック映画』というのが正直なところ。
低予算の割には頑張ってる部分もありますし、観るのが苦痛なほどツマんない内容ではないのですが、敢えて本作を推すような要素は無いかなぁ?
恐竜パニック映画なら他にも同じようなアイデアの作品がいっぱい作られていますしネタとしても弱い作品なので、よほど気になっているとかでなければ普通にスルーしてしまっても問題のない一本だと思いますよ。