NIGHT_SHIFT (B級映画&ゲーム雑感 上井某BLOG)

上井某(家主)が観た「B級映画」(主にホラーとサスペンス)の感想と、たまにゲームとかアニメとかについてつらつらと語るブログです。

映画感想:「デストイレ」(10点/オカルト)

■■■「デストイレ」■■■
(10点/オカルト)


 1970年代。
 ベトナム戦争のさなか、第一歩兵師団に従軍していたブレットのもとに弟が亡くなったという訃報が舞い込む。
 それは『トイレで排便中に亡くなった』という奇妙なものだった。


 終戦後に戦場から帰還した彼は、亡くなった弟が遺した家で暮らす事となるが、トイレで異様な気配や不気味な笑い声のような音を聞いた事から、最初はトイレの故障ではないかと疑い配管工に修理を依頼。


 しかし点検しても特に異常は見当たらず、更にトイレで異常な現象が続いたことから、『トイレに悪魔が取り憑いているのではないか』と疑いを抱き、教会のディングルベリー神父に悪魔祓いを依頼する事となるが…

 

 ベトナム戦争帰りの男性が、弟を殺害した『悪魔に取り憑かれた便器』と対峙する事となるという、オカルトホラー映画。


 一部のマニアにはお馴染みの海外からZ級の超低予算ホラー映画を専門に買い付けてくるコンマビジョンからリリースされた新作と言えば、B級ホラー好きの人であればどんな映画なのかなんとなく想像が付くとは思いますが…


 今回もご多聞に漏れないレベルの、なかなかに酷い出来の超低予算のホラー作品です。


 何が酷いって、まあとにかく『全く見どころが無い作品』なのが辛いところ…


 まず『悪魔の便器』を題材としたモンスター映画という設定なのに、作中でマトモに『悪魔の便器』の犠牲者になるのは、冒頭で襲われる主人公の弟ぐらい。


 便器による襲撃シーン(変な日本語だな…)も、『便器からナイフが飛び出してきて股間を切られる』というもののみで、ビジュアル的にもたいして面白くもありません。


 そして最初に弟が殺された以降のシーンは、主人公が不気味な音を出すトイレにひたすらビビリ散らかして、トイレを威嚇しているようなシーンを延々と見せられるだけという内容。


 時々思い出したように、ベトナム戦争のトラウマがフラッシュバックしたり、ナイフ(オモチャのナイフ)を持って暴れまわったりしますが、その辺は本編の流れ殆ど関係が無くて何をやりたいのか意味不明。


 ちなみに本作は60分程度の尺の映画なのですが、その半分以上がダラダラしたシーンで占められているため、観ていてとにかくテンポが悪いです。


 ただ、後半の悪魔祓いの流れに入ってからはそこそこ観れる要素もあって、悪魔祓いをしようとする神父に対して便器が炎を吹き出したり爆発を起こしたりといった、ハチャメチャな攻撃を繰り出して対抗してくるのはなかなか笑わせてくれます。


 便器が炎や爆発を起こすのは、恐らく主人公の『ベトナム戦争のトラウマ』に由来している感じなのでしょうが、便器の中に戦場のような光景が再現される絵面はどうにもシュール。
 (そういえば、ベトナム戦争時代にアメリカ兵が冗談で『トイレに爆薬を詰め込んで爆撃機から投下した』とかってエピソードがあるらしいので、その辺の故事にちなんだネタなのかしらん?(←多分関係ない))


 しかし、この合成が適当すぎて炎や爆発の位置がズレまくりなのは、流石に『もうちょっと頑張れよ』という印象。


 逆に神父の役者さんの『便器に向かって大真面目に悪魔祓いの儀式を行っている姿』は、なかなかにインパクトがあって笑わせてくれるのは良い感じ。


 ただ、全体を通して『便器に向かって悪魔祓い』という部分以外に面白い要素もなく、とにかくダラダラとしたシーンが多すぎ。


 『便器に悪魔が取り憑いてた原因』とかも一切不明のままで、オチもこの手のZ級ホラーにありがちな『投げっぱなしオチ』で特に面白味もありません。


 ところどころで、ネタのつもりなのか矢鱈と何度も挿入される『異常にリアルなおならの音や排便音』も不快なだけですし、色んな意味で観ていて辛い映画でしたよ…

 


 総評としましては、多方面に渡って酷い内容の『超低予算オカルトホラー映画』って感じの作品ですね。


 『悪魔の取り憑いた便器』というワンシチュエーションで勝負するのは良いのですが、それならそれで『悪魔の便器』をもっと大暴れさせていただきたかったところ…


 トイレだけに最初から『クソ映画』なのを覚悟して観るというのであれば止める事はしませんが、ネタ映画としても弱い内容なので、あまりオススメは出来ない作品というのが正直なところですよ。