■■■「トロール」■■■
(55点/モンスター)
ノルウェーの山間部のドブレ山脈の地中奥深く。
鉄道会社がトンネルを作るために爆破工事を行ったところ、地中の奥深くから正体不明の何者かが出現。
工事現場を壊滅させて、そのまま姿を消してしまう。
現場のカメラから回収された映像から『正体不明の巨大な生物』であることが判明した事から、政府から専門家として招集された古生物学者のノラは、首相補佐官であるアンドレアスと共に調査のために現地へと赴く事となる。
現地での状況から、謎の生物が伝説の怪物である『トロール』ではないかと考えた彼女は、人文学者でトロールの伝承の研究者である父親へと助言を求めるが…
ノルウェーの山間部で爆破工事によって復活した『トロール』が街を襲撃し、政府と古生物学者の女性が怪物の侵攻を食い止めようと戦いを挑む…という、モンスターパニック映画。
ネットフリックスで配信されているオリジナルの巨大生物もののモンスター映画で、予告編を観た際にメチャクチャ面白そうだったので期待して鑑賞してみたのですが…
実際の中身の方は『やや物足りない作品』というか、ぶっちゃけて言ってしまうと『予告編がピークの作品』という感じの内容でしたよ。
と言っても予告編とかからも分かるように、『かなりの予算をかけて作られた作品』という感じで、映像の迫力や身長50m近くあるトロールの巨大感なんかはなかなかのもの。
軍隊との戦闘シーンやらも割と派手で迫力がありますし、映像的には結構観るべきところは多いです。
ただ映像が派手で迫力がある割には、ストーリーがコテコテの低予算映画のようなチープさで、どうにもアンバランスで盛り上がりに欠けるんですよね。
お話の流れ的には『政府主導で軍隊を出動させて怪物への対策に当たる』という展開なのですが、政府や軍隊の面々がイマドキの映画ではあり得ないレベルの無能の集団みたいな感じで、役に立たないどころか被害を拡大させるような行動しか取ってないのは、流石にちょっとイライラさせられます。
B級映画でありがちな『主人公を活躍させるために無能に描かれる周囲の人間』みたいな扱いなのですが、流石に政府の首脳陣や専門家が雁首揃えて無能ぞろいな扱いなのはいかがなものかと…
(軍隊を出動させるにしても、相手は『巨人』とはいえ地上戦力なのが分かってるんだから、確実に優位に立てる戦闘ヘリとか戦闘機を最初から出撃させろよ…っていう。)
また、主人公の父親が『トロールの研究に没頭しすぎて、変人扱いされて学会を追放された学者』みたいな設定なのですが、流石に『映画のために作られた都合の良すぎる人員配置』という感じで、ちょっと無理がありすぎ。
それに加えて、中盤で父親と娘の人間ドラマみたいなのも語られるものの、父親も重要人物なのかと思いきやあんまり出番が多くなくて、ドラマ要素もパニック要素もなんか中途半端で盛り上がりに欠けるんですよね。
『トロールの秘密』に関する謎解きも矢鱈と唐突な感じがありますし、全体的にもうちょっとストーリーを上手くまとめられなかったもんかなぁ…という印象。
終盤のトロール撃退作戦の部分は割と盛り上がって良い感じなのですが、全体を通して見せ場であるトロールの出番があまり多くなくて、モンスターとしての魅力があまり感じられないのが一番の不満点かなぁ?
せっかく『巨大生物』としての迫力のある映像を作っているんだから、もっと圧倒的なパワーや恐怖を感じさせて欲しかったですよ。
(ぶっちゃけ、低予算で作られてると思われる「トロール・ハンター」の方が怖さも迫力も上だったかなぁ?)
総評としましては、期待してた割には『どうにも物足りなさの残るモンスターパニック映画』という感じの作品です。
予告映像での期待値は高かったのですが、正直なところ予告の期待値を越える部分があまり感じられず、むしろグテグテでいま一つテンポの良くないストーリーとかにモヤっとさせられる部分が多かった感じ…
とはいえ、物足りないと言いつつも映像の迫力とか普通に観るべき部分はそこそこあるので、ネトフリのユーザーでモンスター映画とかが好きであれば、とりあえずチェックしてみても損は無い一本ではあると思いますよ。