■■■「ノセボ」■■■
(55点/サスペンス)
ダブリン郊外で夫と娘と共に暮らす人気ファッションデザイナーであるクリスティーンは、8ヶ月前にショーの会場に迷い込んできた野良犬に寄生していた吸血ダニに噛まれ、それ以来、原因不明の筋肉の痙攣、幻覚、記憶喪失といった様々な症状に悩まされるようになる。
病気のせいで仕事も上手くいかず悩んでいたある日、彼女の元に、『彼女から家政婦として雇用の依頼を受けた』とダイアナと名乗るフィリピン人の女性が訪れる。
雇った記憶は無いが自分の記憶に自身の持てなかった彼女は、ダイアナを試用期間として雇用することとなるが、故郷で呪術医をやっていたという彼女は病気のクリスティーンへと民間療法による治療を施し、彼女の症状はみるみるうちに快方へと向かっていくが…
ダニに噛まれて以来、謎の病状に悩まされるようになった女性が元呪術医の家政婦の治療によって病状から回復していくが、その家政婦には実は秘密の目的があり…という感じの、オカルト風味のサスペンススリラー映画。
『ダニに噛まれたせいで謎の病気に感染する』という、少し前に話題になった『マダニ感染症』に着想を得たっぽい印象の作品ですね。
ただ、いかにもメインっぽい『ダニ要素』は、作中で生理的な嫌悪感を煽るような要素として機能しているのですが、実はそれ以外にストーリー的にはあまり関連は無くて、アクマで『風味付け程度』に使われている要素という印象。
お話としては『奇妙な病気に悩まされるデザイナーの女性の家に雇った記憶のない家政婦が現れ、試用期間として雇ってみたところ実は元地元の呪術医(ウィッチドクター)で彼女の治療により病状は劇的に改善。しかし、その謎の家政婦には実は驚くべき秘密と目的があり…』みたいな感じのストーリー。
『ある家庭に侵入してきた謎の家政婦の奇妙な行動と、その真の目的は?』みたいなのがメインで進んでいく感じで、サスペンス要素が強めなのですが、家政婦が実は呪術医だったりするせいでオカルト要素も含まれていたり、先述のダニ要素も加えて『とにかく色々と詰め込んでみました』感があります。
主人公の『謎の病気』の秘密やら『謎の家政婦の目的』やらが、徐々に明らかになっていくプロセスはなかなか面白く、先の読めない展開のためそれなりに楽しめるサスペンスではあるのですが、『謎の家政婦』が呪術を使ったり常識的ではない部分やら『独自の世界観』の強い部分が多く、オカルト要素も強めのため純粋にサスペンスとして素直に楽しめるかと言われると微妙なところなのが困りもの。
かといって実際には『オカルト要素』は味付け程度で、そこまで怖かったりする訳でも無いので、色々と要素を詰め込んだ割には散漫な印象の作品になってしまっているんですよね…
また『謎の家政婦』の目的とかも中盤あたりにはなんとなく予想できてしまうため、そこまで意外性が強い訳でも無くて、全体的にちょっと中途半端です。
独特の世界観やらは悪くないのですが、もう少しその辺の要素がシッカリと活かされていればなぁ…という感じの作品でしたよ。
総評としましては、『そこそこ楽しめるレベルのオカルト風味のサスペンススリラー映画』って感じですね。
前述のとおり、サスペンスとして観てもオカルトとして観てもやや印象の薄い内容になっており、敢えて推すにはちょっと弱い感じの作品になってしまっている印象。
独特の世界観やらテイストやらは悪くないので、予告とかで観て気になっているようであればチェックしてみても良いかもしれませんよ。