■■■「ブラッド・チェイサー 呪術捜査線」■■■
(25点/オカルト)
イタリアのローマで、謎の黒人の切り裂き魔による連続殺人事件が発生。
警察は犯人を追い詰めるも、犯人は驚異的な身体能力で刑事たちを刃物で惨殺して、犯人は夜の街へと逃走してしまう。
それから数日後、アメリカのミシシッピ州で同じような若者の惨殺事件が発生。
身体の一部が切り取られた死体や現場の状況から、犯人がアフリカ系の呪術に詳しい人間だと考えた殺人課刑事のボイドは、アフリカ民俗学の権威であるマックルズ教授へと協力を依頼する。
教授の助言から犯人がアフリカ系の呪術師で、何者かの依頼で『無敵の肉体を手に入れる儀式』として殺人を繰り返している事を知ったボイドは、新たな犠牲を食い止めるために行動を開始するが…
アフリカの呪術の儀式として連続殺人を繰り替えす呪術師の凶行を止めるために、殺人課の刑事が殺人鬼へと戦いを挑む…という、オカルトスリラー映画。
タイトルや設定だけ聞くと割と普通のオカルト系のスリラー映画っぽい印象を受けますが、実際の中身の方は色んな意味で『なんじゃコリャ?』と言いたくなるような作品です。
お話としては『アメリカのミシシッピ州で、呪術の儀式を模倣したと思われる謎の切り裂き魔による連続殺人事件が発生。犯人がアフリカ系の呪術に精通した「呪術師」であると知った刑事たちは、犯人の凶行を止めるために捜査線を張り巡らせるが…』みたいな感じの展開なのですが…
この手の設定のサスペンス映画って、普通は『犯人の動機や犯行の証拠から、犯人の動向を探りつつ追い詰めていく』みたいなのが定番だと思うのですが、本作はなんというかそういった『サスペンス要素』が一切ないんですよね。
犯人も動機も殺人の手段も最初からほぼ分かっているうえに、犯人は割と最初から警察に追い詰められまくっているような状態なのですが、警察がいくら犯人を追い詰めても『驚異の身体能力で警察官を殺しまくって追跡を逃れてしまう』という良く分からない流れの連続。
とまあ、それだけ聞くと『アクション映画』として面白そうな雰囲気なのですが…
作中では何故か『サスペンス映画』っぽいテンプレート展開のなかでそういったグテグテな茶番を延々と見せられるため、『えっ、もう犯人とか動機とか分かってるのに、なんで謎解きごっこっぽい流れをやってるの?』みたいな感じになってしまい、ダラダラ感がハンパありません。
上記の『サスペンスなのにサスペンス要素がない』というのと同じように、他にも『とにかく中途半端でダラダラした要素』の多い作品で、『娘を事故で失った』という主人公のキャラの掘り下げも中途半端で、長めに尺を割いて説明されている割には本編に設定が全く活かされていないですし、謎解き要素に関しても『犯人の動機に関する意外な真実』みたいなのが終盤で明かされるのですが、それも矢鱈と唐突で面白味もなにも無いんですよね。
ラストのオチに関しても、何が言いたいのかサッパリ分からないような投げっぱなしオチですし、何かもうとにかく最初から最後までモヤモヤした気持ちばかりが溜まってしまうような作品でしたよ…
総評としましては、『どうにも中途半端な部分ばかりが目に付く微妙な出来のオカルトサスペンス映画』って感じの一本です。
設定とかを聞いて『ちょっと気になるかも』と思った場合は、むしろ『そういった気になる要素はほぼ楽しめない内容』ですのて、気になっている人ほど要注意の作品かも?
一応、事件の捜査に協力する大学教授という主役級の扱いでモーガン・フリーマンが出演しているのですが、なんというか無駄遣い感とか徒労感がハンパ無い映画でしたよ…