■■■「殺人狂騒曲 第9の生贄」■■■
(60点/サスペンス)
19世紀のサンクトペテルブルクで、若い女性ばかりを狙った連続殺人事件が発生。
犠牲者はそれぞれ身体に奇妙な焼き印を押されて、舌を切り取られて口を縫い付けられたり内臓を抜き取られたりと、猟奇的な殺害のされ方をしたものばかりだった。
4番目の犠牲者の体内から五芒星を描いた遺留品を発見した刑事のロストフは、同じシンボルを使って降霊を行う霊媒師のオリヴィアが事件に関わっているのではないかと疑い、彼女の身辺の調査を開始するが、オリヴィアは『9人目の犠牲者が出るまで殺人が続く』と驚くべき予言をし…
19世紀のサンクトペテルブルクで発生した猟奇的な連続殺人事件と、その謎を追う刑事と霊媒師の姿を描いた、オカルト風味のサスペンススリラー映画。
いわゆる『魔術的な儀式をなぞらえた連続殺人の秘密を追う』みたいな感じの割とコテコテなオカルトミステリー仕立てのお話なのですが、コテコテながらもなかなかシッカリと作られた作品です。
基本的には『主人公たちが事件の謎を追う謎解きミステリー』が主題となっているのですが、謎解きと並行して連続殺人事件が次々と発生していくため非常にテンポが良く退屈しないですし、殺人事件の内容もなかなかに猟奇的で迫力があり見ごたえがあるのも良い感じ。
美術デザインなんかも気合が入っており、中世から近代に移ったばかりの19世紀のサンクトペテルブルクの雰囲気も良く出ていますし、科学と迷信が混在するような時代背景と世界観もオカルト作品の世界設定としては悪くない印象。
また、少ないながらもアクションシーンなんかもあったりして、エンターテイメントとして楽しませる要素がシッカリと盛り込まれている辺りも良く出来ています。
ただミステリーとして観るとややお粗末な部分もあり、謎解き要素があまり謎解きの意味を成していなかったり事件の真相が何の捻りもなかったりと、微妙な部分が散見されるのは残念なところ。
主人公たちのキャラ立てもちょっと弱くて、特に主人公たちのロマンス的な要素は取って付けた感が強かったので、『その要素は要らんかったやろ?』と感じてしまったのは自分だけ?
でもまあ、後を引くようなオチの落としどころとかも上手く、全体的には悪くない部分が多く感じられた作品でしたよ。
それにしても、この『物凄い安っぽい感じの邦題』はもうちょっとなんとかならんかったものかなぁ…
総評としましては、普通に『そこそこ良く出来たオカルト風味のサスペンススリラー映画』って感じの作品です。
やや『無難すぎる内容』と感じる部分もあり強く推すには弱い部分もありますが、設定やらが気になるようであればチェックしておいても損はない一本ではないかと…
オカルト的な猟奇殺人の雰囲気も悪くないですし歴史もの的な雰囲気のミステリー映画としてもまあまあ良く出来ているので、そういうテイストの作品が好きであれば、まあまあオススメできる映画ではないかと思います。