NIGHT_SHIFT (B級映画&ゲーム雑感 上井某BLOG)

上井某(家主)が観た「B級映画」(主にホラーとサスペンス)の感想と、たまにゲームとかアニメとかについてつらつらと語るブログです。

映画感想:「マミー・インサイド」(50点/サスペンス)

■■■「マミー・インサイド」■■■
(50点/サスペンス)


 整形外科医の医療ミスで車いすでの生活を送ることとなったマッサージ療法士のスカーレットは、介助を受けつつ新しい生活に慣れるために、娘の恋人のフランクの家に娘と一緒に置いてもらう事となる。


 古代エジプト風の装飾が施された異様な家に不気味なものを感じつつも、彼の家で生活をはじめる彼女だったが、元来の被害妄想と薬の副作用による幻覚症状が悪化。


 更に、隣人から『フランクが裏庭に何かを隠しているからすぐに家を出るように』という奇妙な警告を受ける。


 そんなある日、フランクへのマッサージの施術中に彼の過去の記憶を幻視したスカーレットは、どこまでが現実でどこまでが幻想か分からなくなって行き、『裏庭に殺された住人のミイラが埋まっているではないか』と疑いを抱くようになっていく…

 


 被害妄想を持った女性が娘の恋人と共に新居で暮らすうちに、過去の事件にまつわる奇妙な幻覚に囚われていく…という、サイコスリラー風味のサスペンス映画。


 「マミー・インサイドとか、最初に聞いた時はなんだか良くわからないタイプの邦題だなと思ったのですが、実際の作品を観ると『裏庭に埋められた母のミイラ』と『母親(主人公)の精神状態(インサイド)』をかけた、なかなか秀逸な邦題だと思いました。


 まあ本編を見てないと、何が言いたいのあサッパリ分からないタイトルなのは変わりませんけどね…(笑)


 お話としては、車いすでの生活に慣れるために娘の恋人の家で介助を受けつつ娘と一緒に暮らすことになった母親が、古代エジプトかぶれの家主と暮らすうちに奇妙な幻覚に取りつかれて、過去に起こった恐るべき事件の真相に近づいていく…』みたいな感じのお話。


 基本的にはいわゆる『サイコサスペンス映画』なのですが、主人公はマッサージ師といっても『オカルト的な治療』が専門で、重度の被害妄想持ちなうえに薬の副作用で普段から幻覚を見るぐらい精神を病んでいる状態。


 主人公の暮らす事となる家主である娘の恋人は古代エジプトマニア』で、奇矯な行動が多く、家の中は謎のエジプト風装飾だらけという状況で、『そりゃ、こんな状況だと何もなくても幻覚も観るだろ』とツッコミを入れたくなるような設定なので、観ていてもどこまでが妄想でどこまでが現実なのか良くわからなくなってくるような作りの作品です。
 (というか、そもそも『足が動かなくなったのも、主人公の妄想のせいなんじゃないか』という疑惑が…)


 一応、主人公が家主に対して『施術』を施すうちに、何故か家主の『過去の記憶』が見えるようになっていき『その記憶をもとに過去の事件を探っていく』みたいな展開がお話のメインストーリーとなっているのですが…


 前述のとおり『どこまでが妄想でどこまでが現実か良くわからない』うえに、調査していくのが『記憶を元に語られる過去の事件』のため、どうにもストーリーが難解なのが困りもの。


 更に、過去の事件にもちょっとした『ドンデン返し』的な設定があるせいで、終盤あたりは何がどうなっているのか良くわからなくなって、ちょっと混乱してしまいましたよ。(一応、ラストで解説はしてくれるのでオチはキチンと分かる。)


 ただ難解な割には、ストーリーそのものがサスペンスとして『そこまで面白い内容か?』と言われると微妙なところで、主人公の観る幻覚もビジュアル的にそこまで面白いものでも無いので、『単に分かりにくいストーリーのサスペンス映画』になってしまっているのは困りもの…


 もうちょっと設定を活かした奇抜なビジュアルや緊張感とか、予想できないようなトンデモ系ストーリーとかがシッカリと仕込まれてれば良い作品になったと思うのですが、どうにも惜しい印象を受ける作品でしたよ。

 


 総評としましては、『奇抜な設定の割には、ちょっと物足りなさの残るサイコサスペンス映画』って感じですね。


 設定とかヒロインのキャラクターは面白いのに、作品としてはそこまで尖った個性が無いような内容なのが、物足りなさを感じる最大の要因なのかなぁ…という印象。


 気になっているのであれば観るのを止める事はありませんが、奇抜な設定の割には尖った内容を期待していると、ちょっと肩透かしを食らわされる可能性があるので、その辺は要注意かもしれませんよ。