■■■「バッド・デイ・ドライブ」■■■
(55点/サスペンス)
金融ビジネスマンで家庭を顧みない仕事人間のマットは、ある日、娘のヘザーと息子のザックを車に乗せて学校まで送り届ける事となる。
子供たちを乗せてドライブを始めた彼だったが、車のダッシュボードの中から電話の着信音が聞こえ、確認してみたところ誰のものか分からないスマートフォンを発見。
不審に思いつつ電話に出たところ、電話の声の主から『車のシートの下に圧力センサー付きの爆弾を仕掛けた。車のシートから立ったり不審な行動を取ろうとしたら、車を即爆破する』というメッセージを受け取る。
声の主が、最近世間を賑わせている金融関係の人間を狙った爆弾テロ犯人だと考えた彼は、混乱しつつも家族の命を守るだめに犯人の要求に従う事となるが、犯人からの指示に従い向かった場所で、自分の会社の同僚が同じような爆弾で爆殺される現場を見せつけられ…
正体不明の爆弾テロ犯人に車に爆弾を仕掛けられた男が、家族を守るために命がけのドライブに出発する…という、サスペンススリラー映画。
「スピード」とかに着想を得た、『命がけのドライブ』を題材としたタイプのスリラー映画ですね。
といっても、作品のメインの設定として『車のシートに感圧スイッチがあり、座席から立ち上がったら爆発する』というギミックはあるものの、他の作品のような『車の運転をやめたら爆発する』みたいな制限やら時間制限も無いため、そこまで緊迫感や緊張感が強くなくて『本作ならではの個性』にはなっていないのが、ちょっと残念なところ。
プロットとしては『爆弾を仕掛けられた車で犯人の要求に強制的に従わされるサスペンス』に加えて『家族を顧みなかった仕事人間の主人公が家族を守るために奮闘する』という感じの内容で、サスペンス要素と人間ドラマの要素が半々といったような印象の作品です。
人間ドラマ要素は月並みながらも割と良く出来ており、サスペンス要素も『犯人によって次々と自分の同僚が爆殺されていく現場を目撃させられる』という流れは、なかなか緊張感があって悪くない印象。
ただ、『主人公に奇妙な要求を突きつける犯人の真の目的は何か?』みたいな部分を中心に謎解きが進んでいくのですが、ターゲットにされるのが『大手金融コンサルタントの社員』みたいな人たちばかりな時点で割と容易に目的の予想がついてしまうため、謎解きとしての面白さはそこまで無い印象。
ツッコミどころも多い内容で、そもそも『車に家族が一緒に乗らなくて主人公が要求に従わなかったら、犯人はどうるすつもりだったんだ?』とか、『主人公の行動を逐一監視している』とか言いながらも、どうやって監視してるのか判然としなかったりとか不明な部分が多すぎ。
なんとなく緊張感とイキオイでごまかしているものの、サスペンスとしては色々と設定がガバガバです。
終盤の犯人の直接対決的な展開は熱くて良いのですが、『犯人が勝ち誇るために自分で爆弾を仕掛けた主人公の車に乗り込んでくる』という展開は、流石に『頭おかしいんじゃないのコイツ?』とツッコミを入れたくなりましたよ。(笑)
オチも割と予想通りの展開でそこまで意外性はありませんが、まあまあキレイな終わり方で悪くないかなあ?
というか家族との関係がこの事件で修復されたのかは、気になる部分ではありますが…
総評としましては、それなりに楽しめるレベルの『「スピード」系の爆弾ものサスペンススリラー映画』って感じですね。
正直なところツッコミどころも多いですが、イキオイやテンポの良さもあってまあまあ及第点って感じの作品です。
強く推すには弱い内容ですが、予告やら設定やらを観て気になっているようであれば『まあお好みで』って感じの一本でしょう。