■■■「クリムゾン」■■■
(35点/サスペンス)
『ヒッチハイク中の女性を狙った連続殺人』を調査する地元刑事のハリスは、素人ながらも犯罪学の専門家並みの知識を持つ友人のエドにプロファイリングを依頼する。
彼の分析によって犯人らしき男性を発見し射殺する事に成功したハリスだが、その翌日に同様の手口で次の殺人事件が発生。
現場の捜査中にかかってきたエドからの電話によって、彼こそが『真の連続殺人の犯人』だという驚くべき事実を告白されるが、犯罪学の知識を持ち高いIQを備えた彼に警察は翻弄され続ける事となる。
そしてハリスは、彼の親友である立場と刑事であるという立場の間で板挟みとなっていくのだった…
旧友が連続殺人鬼だと知らされた刑事と殺人鬼との奇妙な友情を描いた、サスペンススリラー映画。
なんでも、70年代に実際にアメリカで起きた猟奇殺人事件をベースに描いた作品という事で、最近の流行の『実話をベースとしたフィクション』って奴ですが、設定としては『殺人鬼と刑事が実は旧友だった』というだけでそこまで奇抜な設定でもないので、確かにリアリティはあるのですが『まあ、そういう事もあるかもね?』ってぐらいで、驚きは特に感じないお話ですね。
一応、サスペンス映画という位置づけではありますがちょっと特殊なテイストで、お話の割と初っ端(しょっぱな)から犯人は分かっており、『刑事という立場と親友という立場の間で板ばさみになりつつも事件を追う主人公』を中心に殺人鬼である旧友との奇妙な友情が描かれるといった感じの展開。
この設定はなかなか面白いですし雰囲気は悪くはないのですが、肝心のサスペンス部分がイマイチで微妙な出来なのは欠点かなぁ?
殺人鬼が『犯罪学に詳しく天才的頭脳を持つ殺人鬼』という設定なのですが、ぶっちゃけ犯行とかもアバウトであまり頭が良さそうには感じられない。
むしろ『警察側がふがいなくて隙だらけの犯人を採り逃している』という感じで、サスペンス要素がいまひとつ盛り上がりに欠けるんですよね。
もっと『天才連続殺人鬼と旧友との頭脳戦』みたいな展開になれば、結構面白い作品になったと思うのですが…
人間関係を中心に描くにしても、殺人鬼側は過去の設定とか色々と出てくるのですが、主人公側のキャラクターの掘り下げが弱くてちょっと感情移入し辛いのは残念なところ。
お陰で『2人の微妙な友情関係』を描いたであろうエンディングも、アッサリしすぎてて『ふーん、それで?』といった感じになってしまっているのは辛いところですね。
サスペンスなり人間ドラマなり、どちらかの要素をもう少し掘り下げて描く事ができてればもっと面白くなったんじゃないかと思うので、そういう意味では少し惜しい感じの作品でした。
総評としましては、独特のテイストはありながらも『全体的に地味すぎてパッとしない』という感じのサスペンスホラー映画ですね。
アイデアとしては悪くないと思うので、もうちょっと作り込みがシッカリとしてれば良い作品になったんじゃないかと思うんですけどね…
ツマんない作品では無いのですが面白いという程でも無く、『単なる地味なサスペンス映画』という感じの作品ですので敢えてプッシュする程では無いですが、衛星放送とかTVで放送されたら『暇つぶしに観てみても良いかも?』ってレベルの一本だと思いますよ。