NIGHT_SHIFT (B級映画&ゲーム雑感 上井某BLOG)

上井某(家主)が観た「B級映画」(主にホラーとサスペンス)の感想と、たまにゲームとかアニメとかについてつらつらと語るブログです。

映画感想:「シャーク・ド・フランス 」(45点/生物パニック)

■■■「シャーク・ド・フランス 」■■■
(45点/生物パニック)


 フランス南西部ののどかなリゾート地であるラ・ポワントで、マリンスポーツを楽しんでいた一人の男性が、何らかの生物に変死するという事件が発生。


 検死の結果や目撃情報から、事件は『巨大なサメの仕業』だと判断され、リゾートシーズン中の海水浴場の閉鎖の是非も含めて、地元はパニックに陥ってしまう。


 引退を間近に控えた海上憲兵隊の隊員であるマジャは、正義感の強さから引退を延期して隊員たちと共にサメ退治へと赴き、巨大なサメを捕獲する事に成功。


 彼女は英雄として賞賛され事件は一件落着に思われたが、サメを捕獲していた檻からサメが逃げ出して再び住民を襲った事から、一転して批判を浴びる事になってしまう…

 


 のどかなリゾート地に出現した巨大な人食いザメと、サメの被害から住民を守ろうと果敢に立ち向かう憲兵隊の女性の戦いを描いた、フランス製のサメもの生物パニック映画。


 あまりお目にかかった事のない『フランス製のサメ映画』という事で、なんかツール・ド・フランス」っぽい響きのオシャレな感じのタイトルが付けられていますが、そもそも『フランス語でサメはシャークじゃないやろ?』とか根本的な部分も含めて色々とツッコミを入れたくなるようなタイトルとパッケージの作品です。(ちなみにフランス語ではサメは『ルカン』だそうです。)


 そんな訳で『フランス製のサメ映画って、確かにあまり観た記憶が無いけど、どんなノリなんだろう?』と思いつつ観てみたのですが、お話としては『のどかなリゾート地に突然現れた巨大ザメから住民を守るために、海上憲兵隊(いわゆる湾岸警備隊)の女性隊員が単身で立ち向かう』みたいな感じで、プロットやらはいかにも『オーソドックスなサメ映画』という感じ。


 ただ、プロットやらはいかにもサメ映画っぽい(というか「ジョーズ」をオマージュしてるっぽい)内容ではあるのですが、実際の中身の方は人間ドラマ部分に重きが置かれている作品という印象。


 『正義感と責任感が強く、住民を守るために単身でサメに立ち向かおうとする主人公』に対して、『身勝手に無責任な事ばかりを言って主人公に責任を押し付けようとする住民たち』の姿が対照的に描かれ、責任感やプライドがないまぜになった主人公のキャラの掘り下げに力が割かれています。


 他にも、無茶をして責任を果たそうとする妻の心をなんとかしてケアしようとする夫との関連性やら、人間ドラマ要素が非常に深く描かれていたりする辺りも、いかにも『フランス映画らしいテイスト』という感じですね。


 逆にサメ要素や特撮にはあまり力が入っておらず、サメはアニマトロニクスっぽい作りのマペットなのですが、作りも合成も非常に雑で安っぽさが隠せないような出来(というか、ほぼパッケージの写真そのまんま)ですし、襲撃シーンも少ないうえに面白味もなくてどうにも物足りない印象。


 『人間ドラマ』として観るなら出来はそこまで悪くないのですが、ぶっちゃけ『サメ映画』として観ると物足りない部分が多い作品でしたよ…

 


 総評としましては、『どうにも物足りなさの残るサメもの生物パニック映画』って感じの内容ですね。


 人間ドラマが中心で、妙に淡々とした口調で語られる『教訓があるんだか無いんだか良く分からないようなオチ』とかは、独特の印象を受けるフランス映画風のテイストではあるのですが、一般的なサメ映画の要素を期待していると肩透かしを食らわされてしまうかも?


 ツマんない映画ではないですし、そもそも『フランス製のサメ映画』というのが希少な存在なので『とりあえずチェックしてみたい』というのであれば止める事はしませんが、オススメするにはちょっと弱い作品かなぁ…というのが正直なところですよ。