（モンスターホラー／４５点）
観光客を連れて森へと入ったレンジャーのケリーは、森の中に隕石の落下跡と獣によってバラバラに食い荒らされた何かの動物の死体を発見する。
ケリーは不審に感じながらも、ひとまず森の中に観光客たちをキャンプさせるが、その日の夜に客の一人が体調に異変を訴え、行方不明になった後に体の内側から何者かに食い破られたような無残な姿で発見される。
実は、彼こそは隕石に乗って飛来した寄生生物型のエイリアンによって寄生されていたのだ…
状況に異常を感じた彼女は観光客達と共に森から脱出しようとするが、そんな彼女達の前に軍隊らしき謎の武装集団が出現し、エイリアンに接触し寄生された可能性のある彼女達は身柄を確保され、軟禁状態に置かれてしまう。
彼女たちは謎の武装集団と成長し巨大化したエイリアンの徘徊する森の中から、果たして無事に脱出する事が出来るのだろうか？
宇宙からやってきた謎の寄生生物によって引き起こされるパニックを描いた、森林を舞台にした閉鎖環境型のモンスターホラー映画。
ちなみにパッケージには宇宙怪獣のようなイラストが描かれていますが、こんなカッコいい怪獣は本編には登場せずに、もっとカエルとトカゲを合わせたような『両生類から爬虫類に進化する途中の古代生物』の様な不恰好なモンスターが登場します。
イメージ的には「レリック」のラストシーンに出てきた巨大生物のイメージが一番近いかな？
まあ、その怪物は怪物なりに不恰好なのがかえってインパクトがあって良いのですが…
さて、この手のＢ級ホラー映画って『物語を異常に引っ張る（恐らく予算の都合でモンスターがあまり出せない）タイプ』と『物凄く展開が速い（複雑なシナリオや演出が書けないのでパワーで押し切る）タイプ』の２つのパターンに大別される事が多いのですが、この映画は典型的な後者のタイプで、とにかく展開が速い！！
なんと、映画が始まってから１０秒後ぐらいには、いきなり『画面にモンスターが登場し大暴れをする』という出し惜しみの無さっぷりを披露して度肝を抜いてくれます。
といっても、まあコレは流石にクライマックスのシーンのハイライトで、その後に回想シーンに場面が進んで物語が普通に展開する訳ですが…
回想シーンに入ってから後も展開は相当速いままで、１５分後ぐらいには最初の事件が発生し、その後もテンポ良くお話が進んでくれます。
やっぱＢ級のモンスター映画は変にネタを引っ張るよりも、これぐらいテンポが良い方が楽しいですな。
ただ展開が早いのは良いのですが、本作は中盤からは『謎の武装集団に拉致された主人公達がいかにして脱出するか』という方がメインのストーリーのようになってしまい、肝心のモンスターの出番が意外と少ないのは残念な所。
流石に、モンスターの出番があまり多いのは予算的にキツかった…といった感じなんでしょうが、コレでもうちょっとモンスターの出番が多ければ結構楽しめる作品になってたと思うので惜しい所です。
エイリアンが人間に寄生して、その後に成長したエイリアンが巨大モンスターになるという２段構えの設定や、謎の武装集団によってエイリアン以上のピンチに見舞われるという展開は、ゴッタ煮的ながらも面白い要素をイロイロ詰め込もうという意欲が感じられます。
実際の話、特撮もショボいしアクションシーンも地味で、そこまで誉められた完成度では無いなからも、視聴者を楽しませようとアイデアを詰め込んで、それが大きな破綻が無い形で収まってる点は結構評価出来るんではないかと？
まあ、作品としてやや突出した個性が無いという部分も感じられますし、『予算が無かった』というのが最終的にはネックになった作品だろうとは思うのですが、この監督には今後もこのノリで作品を作っていって、コンスタントなレベルのＢ級作品を供給して戴きたい所です。
総評としましては、特にコレといって強くプッシュする部分も無いし突出して面白い部分も無いながらも、作品そのものは比較的良質でＢ級のモンスター映画が好きなら普通に楽しめるレベルの作品だと思いますので、その手のノリが好きならばとりあえず観ておいても良い作品だとは思います。
『可も不可も無し』ながら観て後悔する様な映画では無いので、趣味が合いそうならまあお好みで…といった感じでしょう。
ちなみに邦題のタイトルは「エイリアン・ゼロ」となっていますが、個人的には映画を最後まで観ても何が『ゼロ』なのかサッパリ分からなかったです。
いいかげん、『Ｘ』とか『Ｚ』とかノリだけでタイトルに冠を付けるのはやめて、昔みたいに「吸血エイリアン」とか「寄生エイリアン」みたいなＢ級ホラーらしい泥臭いタイトルを付けるようにして欲しいですな。
その方が内容も分かりやすいですしね…
