NIGHT_SHIFT (B級映画&ゲーム雑感 上井某BLOG)

上井某(家主)が観た「B級映画」(主にホラーとサスペンス)の感想と、たまにゲームとかアニメとかについてつらつらと語るブログです。

映画感想:「ブギーマン」(60点/ファンタジーホラー)

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■■■「ブギーマン」■■■
(60点/ファンタジーホラー)

 小さい頃に『言う事をきかない悪い子供は、クローゼットの中から現れるブギーマンに暗闇に連れて行かれる』という話を父親から聞かされ、暗闇に対して異常なまでに恐怖を抱くようになったティムは、ある日の夜中に本当に自室のクローゼットの暗闇から怪物が現れて、自分の父親が暗闇の中に連れ去られる現場を目撃する。

 当然ながら行方不明となった父は『失踪』として扱われ、誰一人としてティムの言う事を信じる人は居なかったが、この事件は彼に深いトラウマとなって、成人した今でもなお『暗闇恐怖症』に悩まされる日々を送っていた。

 しかしそんなティムだったが、先日行われた友人の結婚式に触発された事から、現在交際中の恋人との結婚を決意し勇気を振り絞って恋人の実家へと挨拶に赴くが、そんな折に病気がちだった彼の母親が急逝し、遺産手続きの為に恐怖心から避け続けていた実家へと帰らなければならなくなる。

 ティムは自分の過去に決別しトラウマと恐怖を克服するため、実家の部屋で一晩過ごすことを決意するが…


 最初にブギーマンってタイトルを聞いた際に、『同名のタイトルの映画とか「ハロウィン」とか関連の何かのリメイクかな?』とか思ったのですが、どうもそういう訳でも無さそうなオリジナルのファンタジーホラー映画。

 本作は製作にスパイダーマンで一躍有名になったサム・ライミ監督とかが関わっているようですが、この手の映画で製作とかに大物の名前が入ってる場合は『どの辺に関わったの!?』とツッコミたくなる作品が多い中で…
 本作は同じくサム・ライミが製作に関わったアメリカン・ゴジック」「ギフト」と似たようなテイストを感じさせる内容になっており、確かに随所にサム・ライミっぽさを感じられるのは良い所です。

 本作はホラーというよりはむしろダークファンタジーっぽいイメージが強い作品で、ストーリーはさておくとしても、どこか懐かしさを感じさせる美術デザインによる絵作りのセンスの良さは非常に秀逸で、作品全体に独特の幻想的な雰囲気を持たせる事に成功しています。

 この映像的なセンスの良さのおかげで、ストーリー自体はそこまで怖い話でも無いながらも、物語にグッと引き込まれるような感覚を出せてるのは非常に上手い所でしょう。

 また、CGで作成されたブギーマンのセンスの良さや、対決シーンのカッコ良さもなかなかの物。
 ストーリー的にも『自分の内なる恐怖との対決』という作品テーマが非常に分かりやすい形で描かれており、大きな驚きは無いながらも、なかなかキレイにまとまった作品だと思います。

 ただ、物語も終盤の展開はかなり盛り上がって面白いのですが、そこに到るまでが少々長すぎて、人によっては若干冗長な感覚を受けるかも?
 個人的には、途中までの引っ張り方も結構上手いので『まあ許容範囲かな?』という程度だと思うのですが…

 総評としましては、強く推す程ではないながらも、非常にコンパクトでキレイにまとまったファンタジーホラーの佳作といった感じの作品だと思います。

 正直言って全然期待してなかったので、ちょっとした掘り出し物といった感じの作品でしたよ。

 こういった、子供の頃の恐怖体験をモチーフとしたタイプのファンタジーホラーは数多くありますが、結構内容まで『子供だまし』で終わってしまう事が多いながらも、本作はなかなかに『子供だまし』を大人でも楽しめるレベルに上手くまとめていると思いましたので、そういったファンタジーホラー風のノリが好きならば、観ておいても損は無いと思います。

 テイストが似ているから、なんとなく「黒の怨」とかを思い出したのですが、あの作品もホントはこういうノリの映画が作りたかったんだろうなぁ…