（５５点／ショッカーホラー）
高校の卒業イベントで遊園地に遊びに来ていたウェンディは、友人たちとジェットコースターに乗った瞬間に『ジェットコースターが脱線し乗客の全員が死亡する』という恐ろしい予知夢を見る。
恐慌を来たした彼女は『ジェットコースターが脱線する！！』と騒ぎを起こし、彼女の乗る予定だったコースターは発車中止となるが、果たして彼女の予言どおりに次に発車したコースターが脱線事故を起こし乗客全員が死亡するという恐るべき事態となった。
ジェットコースターに乗らなかった事で九死に一生を得た彼女たちだったが、その事故から数日後、ジェットコースターで彼女と一緒の車両に乗る予定だった人達が次々に変死事故を起こすという不思議な現象が起こり始める。
そう、死の『運命』は彼らが生き延びる事を赦さなかったのだ…
大事故で死ぬ予定だった人達が偶然にも死を回避した事によって、『死という「運命（デスティネーション）」によって命を付け狙われる』という、斬新な設定が話題を生んだショッカーホラー映画である「ファイナルデスティネーション」シリーズの第３段。
タイトル的には、「ファイナルデスティネーション」、「デッドコースター ファイナル・デスティネーション２」の続編に当たるのですが、２作目は『死のジェットコースタームービー』って意味で「デッドコースター」って邦題を付けたんだと思うのですが…
邦題を考えた人も、まさか３作目が『ジェットコースター』がモチーフになるとは思わなかったんでしょうなぁ。
おかげで、シリーズを知らなければ何だかよく分からないような微妙なタイトルに…つか、もし４作目が出たら何てタイトルを付けるんだろう？
シリーズ的には３作目に当たるんですが、１作目の事件に関しては本編のなかで若干触れられてるものの、２作目の事には1mmたりとも触れられていないという不思議な構成なんですが…
まあソレもその筈で、１作目と２作目って監督もスタッフも全く別の人達が作った映画なのに対して、この３作目は１作目の監督やらスタッフやらが再結集して作られた作品なんだそうで…
ある意味で、２作目よりも『正統な１作目の続編』と言って良い作品かもしれません。
スタッフが１作目のスタッフに戻ったというだけの事はあって、良い点であったストーリーやシチュエーションの見せ方や恐怖感の盛り上げ方、キャラクターの描き方等に関しては非常に洗練されており、とりわけ『次に何が起こるかのドキドキ感』の見せ方は上手いです。
個人的に、２作目は残虐描写ばかり強くてストーリー構成や演出にイマイチ物足りない部分があったので、この１作目のスタッフの復帰は素直に嬉しい限りですね。
本編の方は、あいかわらず『死のピタゴラスイッチ』的な、バリエーション豊富な死亡事故のギミックが映画のあちこち仕込まれててなかなかに楽しませてくれるのですが…
ただ死に方のバリエーションや面白さに関しては、２作目が『頑張りすぎた』ぐらいに力を入れてたせいもあって、本作はどうにも物足りなさを感じる部分もあったりして…この辺は痛し痒しといった所ですねぇ。
まあ実際の話、２作目の『多重衝突』を超えるインパクトと迫力を持った映像を作るのは難しいでしょうけど、もうちょっと頑張って欲しかったなぁ。
ストーリーに関しては、１作目は『謎解き』の面白さもあってドキドキしながら観たものですが、３作目ともなると視聴者的にはネタが全て分かってしまってる事もあり、観てる側には緊張感があまり無くて中盤の展開とか少々冗長さを感じてしまうのは辛い所。
このシリーズの特徴である『救いの無い展開』に対して、オチのまとめ方はなかなか上手いなと感じたのですが、終盤からラストへの展開がやたらと唐突で尻切れトンボな印象をちょっとだけ受けてしまったので、この辺の処理がもうちょっと上手くいってれば、なお良かったかな？
総評としましては、ホラー映画のシリーズ物としては『堅調な作りの３作目』といった感じの作品ですね。
とりあえず１～２作目を好きな人ならば、普通に楽しめる内容だと思います。
特に２作目のノリがイマイチ納得出来なかったという人ならば、『１作目の正統な続編』という感じで楽しめると思うのですが、逆に『２作目の過激なノリが好き』という人には少々物足りなさが残る作品かも？
もし更に続編が作られるとしたら、今度は是非ともこの辺の兼ね合いを上手く取った作品に仕上げて欲しいところですね。
ちなみに余談ですが、本シリーズは「デッドコースター」の時も予告でのネタバレが酷かったですが、本作も同じぐらい予告でネタバレしまくりです。
海外版の予告編だとキチンと『肝心のシーン』は隠してるのに、このシリーズは日本版の予告フィルムを作るスタッフのセンスを疑いますよ…
そんな訳で本作も、本編を観る前に誤って予告編を観てしまわないように注意しましょう。
うっかり先に見てしまったら面白さ５割減デスヨ。
