■■■「ハードキャンディ」■■■
(50点/サスペンス)
カメラマンのジェフは、ある日、出会い系サイトで知り合ったヘイリーと名乗る14歳の少女と会う事となる。
少女を自宅へと連れ込んだジェフは、少女の希望に沿って彼女の写真を撮る事になるが、その最中に突然に意識を失って倒れてしまい、やがて目を覚ました彼は、自分が両手と両足を椅子に縛り付けられて身動き一つ取れない状況に置かれている事に気付く。
少女は彼がペドフィリア(幼児性愛者)だと決め付け、彼の家の家捜しを始めるが…果たして彼女の真の目的とは?
一人の謎の少女と訳も分からず監禁された男という、ちょっと意外性のあるシチュエーションをモチーフとした、いわゆるソリッドシチュエーションスリラー映画。
最初は、少女が主役の『赤ずきんちゃん気を付けて』的なノリのサスペンスかと思いきや、その実は…
といった、なかなかに意表を付いた展開が楽しい作品で『コレは結構面白いかも?』と期待して観てたのですが…
確かに序盤の展開はキャッチーで面白いんですが、なんというかこの映画、とにかく中盤以降が話が展開しない。
同じ場面で会話劇を中心に話が続くシーンがやたらと長くて、ストーリーも場面もなかなか展開しないようなシーンが延々と続くので、ぶっちゃけ冗長で退屈。
一応は中盤にもそれなりの見せ場はあるものの、全体的に『引っ張りすぎ』な感が強くて『いいからサッサと話を進めろよ!!』気分になってしまうのが辛い所です。
まあ、謎を『引っ張る』のは悪くは無いんですが、あまりにも『引っ張りすぎる』シーンが多く、その割にはストーリーを楽しむために『作中で与えられるヒント』が余りに少ない為、『監禁された主人公』の視点で観るべきか『謎の少女』の視点で観るべきか、誰に感情移入して観れば良いのかイマイチ判然としないシーンが続くのがストレスの原因になっている気も…
でも肝心のオチに関しても、散々引っ張った割にはそこまでたいした事が無いようなオチなので、何かもう一捻り欲しかったなぁ。
うーん、この映画ってなんとなく『最初の30分ぐらいのインパクトのある展開』のみをアイデアとして、ソレに後付けでストーリーをくっ付けたような感のある話ですねぇ…
この手のシチュエーションスリラーって場面展開が少ない事から、どうにも『話の広がりの無さ』により、ストーリーの閉塞感を感じる事が多くなってしまう事が多いのですが、本作は物の見事にシチュエーションスリラーの『悪いパターン』にハマってしまった感じの作品かも?
「ソウ」とかみたいに『物語を外部へと話をふくらませるようなシチュエーション』でも仕込むか、『序盤の展開に一旦オチを付けて中盤以降は別のシチュエーションで展開する』みたいな工夫でもあればもっと面白くなったと思うのですが、ぶっちゃけちょっと微妙な映画かなぁ?
総評としましては、序盤の『設定の意外性』の割に『お話の面白さ』が追いついて無いと言うような感じの、なんとも微妙な出来のサスペンス映画でした。
酷評するほど酷くは無いものの、どうにも観終わった後にスッキリしない…というか、ガッカリ感が拭えない作品ですねぇ…
シチュエーションスリラー系の作品が好きなら、とりあえず観ておいても後悔する事は無いとは思いますが、強くオススメもしませんので『まあお好み』で…って感じの一本かと。