NIGHT_SHIFT (B級映画&ゲーム雑感 上井某BLOG)

上井某(家主)が観た「B級映画」(主にホラーとサスペンス)の感想と、たまにゲームとかアニメとかについてつらつらと語るブログです。

映画感想:「クライヴ・バーカー ヘルゾンビ」(20点/パニックホラー)

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■■■「クライヴ・バーカー ヘルゾンビ」■■■
(20点/パニックホラー)

 ある日、地球全土で全く同時に世界中の10歳未満の子供たちが「緊張症」の症状を引き落こし『全身が硬直したまま動けなくなる』という未曾有の大災害が発生する。

 その後の新たに生まれてきた新生児も『生まれた直後から全身が硬直したまま』という異常事態発展。
 世界中の国家がこの謎の病状の原因が究明しようと研究するも、その原因は全く不明のままで、このままでは人類滅亡の危機が訪れるのではないかと恐れられていた。

 しかし謎の疫病の発生から10年後のある日、全身を硬直させていた世界中の子供達は硬直した時と同様に全く唐突に目を覚まし、それと同時に無言で大人達に襲い掛かり次々と虐殺をし始めたのだった…


 ヘルレイザーの原作者として知られるクライヴ・バーカー原作による、原因不明の疫病にかかった子供たちが次々と大人を襲い始めるというパニックホラー映画。

 原題の「The Plague」に対して、邦題では「ヘルゾンビ」なんてトンチキなタイトルが付いておりますが、実際にはゾンビ映画でも何でもなくて、むしろクライヴ・バーカー版の「光る眼」とか「ザ・チャイルド」とでも言うべき映画かな?

 無表情のまま集団で大人を襲う子供たちは、確かに『見た目はゾンビっぽい』ですが、別に襲った相手を食べる訳でもなく、噛まれた相手が感染してゾンビになる訳でもありません。

 さてタイトルの話はさておき、本編に関しては『謎の疫病にかかった子供が集団で大人を襲う』というシチュエーション自体は面白いと思うし、予告を観た時も『結構面白そうかも?』と感じたのですが…
 ぶっちゃけて言うと、本当に『そのアイデアだけの映画』という感想を拭えない作品ですね。

 お話のテンポは矢鱈と冗長だし、別にショッカー映画的なシーンとかがある訳でも無いので、とにかく緊張感が全く無い。

 なにしろ主人公が寝てる間に事件が発生してて、『気が付いた時には大人は殆ど殺されてる』みたいな設定で、残虐シーンや襲撃シーンそのものが殆どマトモに描かれないので、そもそも何処を怖がったら良いのやら、何処を楽しんだら良いのやらが良く分かりません。

 しかも、この手のやたらと『設定だけはスケールの大きい映画』にありがちなパターンなのですが、最初の30分ぐらいを観た時点で『こりゃ、マトモなオチは付きそうに無いな…』というのが容易に想像がついてしまい、実際に全くその通りの展開になってしまうのは困り者…

 オチとかに関しても、原作の小説(あるのかな?)で読めば『ストーリーや言わんとしてる事は分かるんじゃないかな?』という雰囲気はあるのですが、映画版ではとにかく全体的に圧倒的に説明不足『なんじゃそりゃ、訳分からんわ!!』としか言いようがありません。

 ちなみに本作の原題の「The Plague」本来は『疫病』という意味なのですが、これには別に『天罰』という意味もあるので、そのタイトルのとおりに若干『宗教臭いオチ』と判断すれば良いのかなぁ?
 何にせよ、日本人にはやや理解し難い内容でした。


 総評としましては、「チルドレン・オブ・ザ・コーン」とかみたいに『子供が大人を殺戮する映画』とかってノリを期待して観ると、思いっきり肩透かしを食らう作品で…個人的には『何処を楽しんだら良いのか良く分からない映画』でした。

 コレだったら、同ジャンルで世間で駄作と言われているJ・カーペンターの「光る眼」の方がよっぽどマシだなぁ。(ちなみに個人的には「光る眼」は大好きな映画なんですが…)

 クライヴ・バーカーという名前に釣られそうになるかもしれませんが、少なくとも日本人の感覚には合わないと思うので、無難にスルーしておいて良い作品だと思います。