■■■「テキサス・チェーンソー ビギニング」■■■
(60点/スラッシャーホラー)
1969年、ベトナム戦争の影響で不況にあえぐアメリカ。
テキサスの片田舎では、企業や工場が次々と閉鎖していく影響もあり失業者が相次ぎ、人々が仕事を求めて都市部へと引越した事で過疎化が進行し、保安官や警察すらまともに配備されないような状況になっていた。
家族が働く精肉工場が閉鎖され生活に困ったヒューイット一家は、食料を確保する為に『ある手段』を実行するようになるのだった…
ホラーファンの間ではスラッシャーホラーの最高傑作として知られる「悪魔のいけにえ(テキサス・チェーンソー)」のプロローグ的なエピソードで、殺人鬼レザーフェイスの誕生秘話(?)を描いた「悪魔のいけにえ0(ゼロ)」みたいな設定のスラッシャーホラー映画。
まあ『誕生エピソード』といっても、別にレザーフェイスの心理的葛藤が描かれる訳でもなければ、衝撃的な新事実が発覚する訳でも無いので、割とシリーズのいつもどおりのノリって感じですね。
といっても、レザーフェイス一家の『いつもどおりの日常』は『物凄く衝撃的な内容』なんですけどね…
『いつもどおりのノリ』という表現からシリーズを観てる人なら分かると思いますが、本作もコレという程のストーリーらしいストーリーは無し。
相変わらずのレザーフェイス一家の変態殺人鬼っぷりと、逃げようとする被害者たちの『命がけの追っかけっこ』が描かれるといったパターンで、お約束の『森の中を逃げる被害者をレザーフェイスがチェーンソーを持って追いかけまわす』というシーンもありました。
ただ、シリーズの『お約束を踏襲した作り』ながらも、本作は作品の完成度は意外と高いです。
作品そのもののテンポが非常に良く、要所に適度に盛り上がるシーンがあってB級ホラーにありがちな『中だるみ』を感じさせずに観れるのは良い所。
またリメイクのホラー映画でありがちな、変なハッタリや肩透かしというものが無くて、『殺る時は殺るぜ!!』って感じで被害者を殺しまくるレザーフェイスの情け容赦のない殺戮っぷりもイカします。
残虐シーンも結構テンコ盛りな感じで、とにかく『さあ、来るぞ!!』というタイミングで肩透かしが無く『残虐シーン』が登場するので、ある意味で『ホラーファン的に安心して観れるホラー』となっている点は非常に好感触でした。
まあ逆に意外性は全く無いので、あまり驚くようなシーンも無いんですが…このシリーズに意外性とかを求めてる人も居ないでしょうしね…
本作の監督は、前回のリメイク版「テキサス・チェーンソー」の監督とは変わってジョナサン・リーベスマン監督。
『あまり聞いた事が無い名前だなぁ』と思ったら「黒の怨(うらみ)」とかを撮った監督さんらしいですが…
「黒の怨(うらみ)」がかなり微妙な作品だったので、本作での成長っぷりは大躍進と言えるかも?
総評としましては、まあ「悪魔のいけにえ」のプロローグ作品としての是非はさておくとしても、スラッシャーホラーとしてはなかなかに完成度の高い、良く出来たホラー映画だと思います。
シリーズを特に知らなくても、ごく普通にスラッシャーホラーが好きな人ならば楽しめると思うので、そういうジャンルが好きならばとりあえず観ておいて損は無い作品だと言えるでしょう。
オリジナルの完成度が凄すぎるので、比較してしまうとどうしても『大絶賛』って事には成らないですが、ごく普通に面白かったです。