■■■「パキスタン・ゾンビ」■■■
(40点/スラッシャーホラー)
パキスタンの大学へと通う地元の大学生ら5人は、ある日、ロックコンサートへ向かう為にドライブへと出発する事になる。
途中でドライブインに寄った彼らは、道中での遅れを取り戻す為に近道をしようと脇道へと入ったところ道に迷ってしまい、休憩中に人間の死体を食べる不気味な姿のゾンビ化した人々の襲撃を受ける。
何とかゾンビの襲撃から難を逃れた彼らだったが、安心したのも束の間、次は殺人鬼と思しき人物の住む住居へと侵入してしまっていた…
彼らが迷い込んでいたこそ場所は、行方不明者の続出する事から地元の人間の間で『地上の地獄』と呼ばれるエリアだったのだ…
2007年に製作された、世にも珍しいパキスタン製のスラッシャーホラー映画。
何でも『パキスタン映画史上初のゾンビ映画』という触れ込みで、過激なゴア表現の為に『パキスタン本国で上映禁止になった』とかって曰く付きの作品だそうです。
でも、タイトルは「パキスタン・ゾンビ」となっているものの、実際にはゾンビは序盤の数分程度しかマトモに登場しないので、ゾンビ映画というよりは「悪魔のいけにえ」系のスラッシャーホラー映画ですね。
原題もタイトルに『ゾンビ(DEAD)』って言葉は含まれておらず、「HELL'S GROUND(地上の地獄)」というタイトルになっております。
本編の方は、何と言いますか欧米的な感覚で言うと『80年代テイスト』が全開のチープな特撮満載のゴアムービーという感じの内容ですね。
ゾンビが登場したり猟奇殺人鬼が登場したり怪しいジジイやババアが登場したと、随分と盛りだくさんな内容で、パキスタンというお国柄上、同様の作品が作れなかった事からか『アレもやりたい、コレもやりたい』という風にイロイロと詰め込んだ感じでしょうか…
「悪魔のいけにえ」やらの他のホラー映画ののオマージュっぽい事をやろうとしているシーンもあったりと、どうにも『要素を詰め込みすぎ』なまとまりの無さから、なんとなく素人の自主制作映画のようなカオスっぷりが感じられてしまいます。
まあでも製作者の『溢れる熱意』は感じられるので、悪いカオスっぷりでは無いですけどね。
ただ、先に『80年代テイスト』といったように、特撮とか映像のレベルもその程度の内容で、ぶっちゃけて言うとかなりチープな映像。
また、この手の映画を作りなれてないせいか、シーン配分のテンポが芳しくなく、『ここはテンポよく畳み掛けるシーンだろ?』というようなシーンで妙に冗長な展開になったりと、全体的にちょっと間延びした印象の映画になってなってしまって居るのは残念な所。
もっと、ジェットコースタームービー的な『軽快なテンポの作品』になっていれば、チープながらも非常に面白い作品になったのでは無いかと思うのですが…
でも、殺人鬼が使う凶器が『巨大なモーニングスター』というのは、ちょっと斬新で面白かったです。
いや、ホントに「ガンダムハンマー」みたいなトゲ付き鉄球を持って襲い掛かって来るんで…ある意味でチェーンソーとかよりインパクトがありますよ。
そりゃ、あんな物騒もの振り回しながら追い掛け回されたら、誰だって逃げますって…
総評としましては、完成度も決して高くないし全体的にまとまりも無いけど『熱意だけは感じられるB級スラッシャー映画』って感じの作品ですかね?
ぶっちゃけ、同ジャンルの作品としてはそれほど観るべき部分は無いのですが…
パキスタン製のゴアホラー映画としてはエポックメイキング的な存在となる作品ですし、位置付け的にも『パキスタン初のゾンビ映画』という事のようですので、同ジャンルの作品が好きな人にとっては『後学の為に見ておく価値のある作品』では無いかと思います。
少なくとも『やる気(殺る気とも言う)』だけはヒシヒシと伝わって来るので、観ててなかなか楽しい作品ではありますよ。