■■■「赤ずきん」■■■
(60点/ファンタジー)
『暗い森のはずれ』の村に住む少女・ヴァレリーは、ある日、親が勝手に決めた結婚から逃れて初恋の相手であるピーターと共に駆け落ちする事を決意する。
しかし、そんな矢先に村で『狼』によって彼女の姉が殺害されるという事件が発生。
姉の死のショックから立ち直れずにいるところに、村人たちは『満月の夜だけ狼に姿を変え普段は人間のふりをして潜んでいる犯人』を狩りだそうとするが、狼の策略により狩りは失敗に終わる。
村人が狼退治を教会に依頼たことによって、有名な人狼ハンターであるソロモン神父が呼ばれ『犯人を必ず倒す』と宣言するが、やがて人狼の目的はヴァレリーを村から連れ去る事だと判明し…
有名なグリム童話である「赤ずきん」をモチーフとした、ダークファンタジー風味の恋愛映画。
アメリカでティーンを中心に大ヒットした『中二病的ファンタジー恋愛映画』である「トワイライト 初恋」の監督さんの新作と言えば、どんな内容かは見当が付くかもしれませんが、実際におおよそ予想どおりの内容の作品ですね。
お話の流れとしては、『幼馴染と許婚との三角関係に揺れる一人の少女』と、彼女を狙う『謎の人狼の正体は何者なのか?』というのを中心に、『人狼への復讐に燃える神父』が絡んでくるという感じの展開。
「赤ずきん」をモチーフとしていると言っても、「狼の血族」みたいに女の子の貞操観念をモチーフとした『赤ずきんちゃん気をつけて』的なノリはあまり無くて、むしろ人外(亜人)キャラが大好きな監督が『単に人狼をモチーフとしたかっただけちゃうんか?』とツッコミを入れたくなったのは自分だけですかね?
ストーリーそのものは割とシッカリとしており、ストーリー展開や『人狼の正体』とかはサスペンスとしてもそこそこ納得が行くレベル。
中盤以降はアクションも豊富で割と盛り上がるのですが、序盤が世界背景を描くのに割と多く費やされているため、ちょっとテンポの悪さを感じるのは残念なところかな?
ダークファンタジー的な世界観や、そこそこ印象に残る美術デザインやらは良い感じなんですけどね…
ヒロインの三角関係の方は、ストーリーの流れ的にもキャラ的にも片方が思いっきり優遇されている(と言うか片方があからさまにイケメン)ので、恋愛要素では今ひとつ盛り上がりに欠ける感じ。
でも『ロマンス的にもファンタジー的にも、ちょっと中二病成分が足りないかな?』と思いきや、ラストの中二病全開な展開は、いかにも「トワイライト」の監督だなぁ…って感じで、なかなか楽しめました。
ただ惜しむらくは、序盤で重要なキャラかと思われた『人狼への復讐に燃える神父』が単なる噛ませ犬的な役回りで、殆ど何の活躍もしないまま死んで行ったのは残念な部分だったかなぁ?
見せ方によっては割と良いキャラになると思ったんだけど、この監督さんは『渋い中年オヤジ』に対する愛情が足りてないのでは無いか…
総評としましては、ちょっと小ぢんまりとしてて若干盛り上がりに欠ける部分はあるものの、そこそこ良く出来たダークファンタジー風味の恋愛映画だと思います。
基本的には「トワイライト 初恋」と同様に『中二病にかぶれた感じのお話』なので、そういうノリが好きでファンタジー風味の作品に興味があるならば観ておいても良いレベルだと言えるでしょう。
「トワイライト 初恋」ほどのインパクトはありませんが、逆にあそこまであからさまなティーン向けでは無いので『観やすい作品になった』と言えるかもしれませんので、中二病に興味がなくとも普通に『ダークファンタジー系の作品』が好きであればチェックしておいても損は無いかもしれませんね。