NIGHT_SHIFT (B級映画&ゲーム雑感 上井某BLOG)

上井某(家主)が観た「B級映画」(主にホラーとサスペンス)の感想と、たまにゲームとかアニメとかについてつらつらと語るブログです。

映画感想:「Pro9-治験」(50点/サスペンス)

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■■■「Pro9-治験」■■■
(50点/サスペンス)

 2010年の8月。
 大学院生のアダムたちの7人は、2000ポンドの報酬と引き換えにプロシントレックス社の「プロナイン」という新薬の治験に参加する事になる。

 街外れの診療所に集められた彼らはそれぞれに薬品を投与され2週間の治験が開始されるが、初日の夜にメンバーの一人のジェロームが発作を起こして倒れるという事件が発生。

 不安を感じつつも夜を過ごす彼らだったが、その日の深夜に医師たちが発作を起こして暴れたジェロームによって惨殺されているのを発見。

 恐怖に駆られた彼らはなんとかして診療所から脱出しようとするが、「プロナイン」には『人間を極度に凶暴化させる』という予想外の副作用がある事が判明し…



 とある新薬の治験に参加したメンバーたちが薬による『予想外の副作用』によって恐るべき事態に陥って行くという、英国製のサスペンスホラー映画。

 一応、題材的には『医療サスペンス』的な体裁を取ってますが、『仲間が次々と凶暴化して閉鎖環境に閉じ込められる』というプロットは、まるっきりゾンビ映画』の亜流みたいな作品ですね。

 ただ、ゾンビ映画のお約束である『感染』のルールが無い代わりに『誰がいつ怪物になるかが分からない』というシチュエーションを与える事で『安易に脱出する事が出来ずに医師の救援を待たないとならない』という設定に説得力を持たせている辺りはなかなか上手い。
 治験という事で誰かが『偽薬』を与えられており『安全な人間と危険な人間が居る』という、疑心暗鬼を呼ぶような設定の持たせ方も良い感じ。

 序盤のキャラクターの見せ方や導入部分の描き方も非常に上手く、主要登場人物の個性が明確で分かりやすいのも良い点なのですが、そこまでキャラクターが魅力的ではなくて特に主人公の印象が薄いのは惜しいところです。

 また色々と凝った作りの割には、最終的にはゾンビ映画の枠組みをそこまで超える事が出来ておらず、あまり目新しさが感じられないのも残念なところ。

 凶暴化した患者も『単に凶暴化しただけ』でビジュアル的や演出的なインパクトは薄いので、映画全体が総じて地味な事も難点ですかねぇ…

 あと登場人物が少なくてシチュエーションにも変化が無いため、中盤~終盤にかけて山場や緊張感に乏しくて、ちょっとダルい印象を受けてしまいます。
 もうひと捻り『状況が一転するような面白いシチュエーション』でも追加されて、作品全体がもう少しテンポ良く進むような作りならば、もっと面白くなったと思うんですけどねぇ。

 ちょっと『ひねくれた感じのオチ』は、いかにも英国っぽい感じで個人的に嫌いでは無いですが、ちょっとアッサリしすぎでインパクトが弱いのも残念なところかと…


 総評としましては、アイデアやシチュエーションとか狙ってる方向性は良く分かりますし悪く無い部分も多いのですが、なにか『もう一つパンチに欠ける感じのサスペンス映画』といったところでしょう。

 ホラー要素とサスペンス要素が共に中途半端になってしまっている感じなので、どちらかにもう少し振り切った方が良かったかも?

 まあ、やや盛り上がりに欠ける内容ではありますが『そこそこ観れるレベル』の作品ではありますので、こういうジャンルが大好きな人や予告編なりを観て気になっている人であれば、とりあえずチェックしておいても損は無い作品かもしれませんよ。