NIGHT_SHIFT (B級映画&ゲーム雑感 上井某BLOG)

上井某(家主)が観た「B級映画」(主にホラーとサスペンス)の感想と、たまにゲームとかアニメとかについてつらつらと語るブログです。

映画感想:「キャビン・フィーバー ペイシェント・ゼロ」(55点/パニック)

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■■■「キャビン・フィーバー ペイシェント・ゼロ」■■■
(55点/パニック)

 結婚を間近に控えたマーカスは、独身最後のバチェラーパーティとして3人の友人たちと一緒にクルーザーでカリブ海の孤島にクルージングに出かける事となる。

 しかしダイビングの最中に、海の中で体が溶けたように骨が剥き出しになった魚の死体が大量にあるのを発見。

 情況に不気味なものを感じつつもバカンスを楽しむ彼らだったが、やがてダイビングを行った2人の肌に謎の赤い発疹が現れ、彼らは自分たちが皮膚の崩れ落ちる謎の感染症にかかっている事に気付くが…



 カリブ海の孤島に訪れた4人の若者たちが謎の感染症の脅威に晒されるという、感染もののパニックホラー映画。

 「キャビン・フィーバー」の3作目で、タイトルから分かるようにシリーズの前日談にあたるお話しなのですが…
 もはや私は1作目のストーリーを良く覚えていないので今ひとつ繋がりが良く分かりませんでしたが、まあ本作を楽しむ分にはあまり問題ない感じです。

 映画の中身としましては、『若者たちが閉鎖環境で謎のウィルスに感染して、体が徐々に腐り落ちていくという症状が進むに従いエゴを剥き出しにしていく』というお約束の展開なのですが…

 ウィルスに感染した若者たちが、助けを求めるために無人島の筈の島にある『謎の建物』に助けを求めに行くのですが、『その場所が実はウィルスの研究施設で…』というような流れの展開で、『単なる閉鎖環境物で終わらせないようにしよう』と言うアイデアは悪く無い感じ。

 ただその研究施設の感染者が何故かゾンビみたいな扱いで、中盤の展開が単なるゾンビ映画みたいなノリになってしまってるのは、『閉鎖環境下での疑心暗鬼』とかを題材としたキャビン・フィーバー」というシリーズのテイストに合って無くてちょっとスベり気味なのはいかがな物かと…
 (まあ、色んな要素が盛りだくさんで『テンポが良い』という点では悪く無い部分でもあるんですけどね。)

 またストーリーが全体的に無理がありすぎで、あまり説得力が無いのも困りもの。

 孤島という閉鎖環境におかれた人間たちが、『自分だけが生き残るためにエゴをむき出しにして争う』という展開はお約束なのですが、感染者と非感染者が島から脱出するためのボートを巡って争うのはさておき、どう考えても争うメリットが無いはずの感染者同士が争いを行うというのは流石に不自然すぎです。
 (感染者どうしなら『早く治療を受けるために一緒に脱出する事』にデメリットとか全く無いだろ?)

 単に『皮膚が壊死した感染者どうしが、ボロボロになって血みどろになりながら戦う』というグロい絵面が撮りたかっただけちゃうんかと…

 他にもグロ描写の特撮は割と頑張っているものの、お話しの展開に関して全体的にキャラの描き込みが薄くて、登場人物の行動に説得力がないのは困りもの。

 主人公もヒロイン(正義の科学者?)も、みんなを救うために正義感で行動しているという訳でもなく、かと言ってそこまで危機感がある訳でもなく、単に情況に流されてるだけで主体性が全く感じられないですし、悪役もそこまでエゴ剥き出しという感じでも無いので、どうにも登場人物たちに感情移入できません。

 ラストの取って付けたような謎解きも『だから何なんだよ?』ってぐらいにしか思えないようなオチですし、なんかパッと見に派手なシーンは増えたのですが、その割には盛り上がりに欠ける内容でしたよ…


 総評としましては、なんというか全体的に薄いというか『物足りなさの残る映画』って感じの一本ですね。

 グロ描写は好く出来ているのですが、表面的な部分ばかりに力が入ってる割に内容がともなってなくて、観終わった後に今ひとつ印象に残らない作品ってところでしょうか…

 まあでも、そこまで大ハズレというほどではなくそこそこ楽しめる内容ではあるので、キャビン・フィーバー」のシリーズが好きな人ならば、とりあえずチェックしてみても良いとは思いますが、強く推すにはちょっと弱い感じの一本でしたよ。