■■■「ABC・オブ・デス」■■■
(50点/オムニバス)
世界中から集められた若手の26組の映画監督が、それぞれ与えられたアルファベットの1文字を元にして『死』をテーマとした短編フィルムを作るという企画で作られたオムニバス形式の短編ホラー映画。
流石に各短編に感想は書いてられないので、全体的な総評という形で感想を書かせていただきますが…
A~Zまでを頭文字とするタイトルのショートフィルムを26本まとめた短編集という事で、アイデアとしては非常に面白い作品だと思います。
先日、感想をアップした「V/H/S シンドローム」は6本の短編のオムニバスといった感じでしたが、こちらはもっと思い切った『企画もの』的な構成ですね。
内容に関しては、たった5分間の映像で色々と背景の物語を想像させるようなレベルのものもあれば、単なるイメージだけのフッテージ映像みたいなものもあり、また何を言いたいのか全く分からないようなノリのものもあったりでまさに玉石混交って感じなのですが…
いかんせん若手の無名監督ばかり(というか作家のリストを見ても、自分はタイ・ウェストと井口昇ぐらいしかマトモに知らなかったです)な事もあってか、ぶっちゃけ微妙な出来の作品が多い。
最初から最後まで何を描きたいのか判然としない作品や、どうでも良すぎて全く印象に残らないような作品が半分ぐらいを占めるのはちょっと辛いところです。
ただそうは言っても『5分のショートフィルム』の連続なので、ツマんなくてもそこまでストレスが溜まらないですし、サクサクと流して見て行けるのは良い感じではありますね。
たまに『そこそこセンスの良い作品』や『面白い作品』が混ざってくると、儲けものといった感じで楽しめますし、深く掘り下げるような内容のものでも無いですので何も考えずに非常に気楽に楽しめます。
どうせならもっと映像センスの良い感じの作家さんをあつめて、セリフを一切廃してフッテージ映像的に観れるような作りになってれば、もっと面白かったかも?
ただ1つのエピソードが短いので全体的にテンポは良いのですが、26本続けて観ると2時間強の尺になってしまい、途中でちょっとダレてきてしまうのは惜しいところですね。
ちなみに構成として『本編の後にその作品のタイトルが表示される』という作りなのですが、タイトルでのネタバレを避けようとしたのかもしれませんが、この構成なら先にタイトルを出してから本編を流した方が、観客に色々想像させる作りになって良かったんじゃないかという気がしますよ。
個人的には途中で何本かあった『楽屋オチ』的なお話が、なかなか良いアクセントになってて面白かったです。
ただ、日本人の監督の作品が『ネタに走りすぎたもの』ばかりで、ちょっと先行きを不安を感じるような内容だったので、この辺はもうちょっとどうにかならんかったものかなぁ…
(ぶっちゃけそのネタも滑りがちなので、日本人監督の作品が観てて一番辛かったですよ…)
総評としましては、映画の企画としてはなかなか面白いアイデアで良い感じの作品だと思います。
ただ『面白かったか?』と言われると悩ましいところで、ぶっちゃけ『面白い作品』よりも『微妙な作品』を見せられてる割合の方が長いので、総じて『微妙な映画』という印象が残ってしまった感じ…
企画そのものに興味があって、予告編とかを観て気になっているのであれば、とりあえずチェックしておいても損は無い一本だとは思いますが、変に期待をして観ると肩透かしを食らわされるようなタイトルなので、まあ息抜き程度に観る作品と割り切って鑑賞すれば良い感じではないかと…