■■■「スリーデイズ・ボディ 彼女がゾンビになるまでの3日間」■■■
(45点/サスペンス)
レズビアンのサマンサは、最近、恋人のニッキーにかまって貰えない事にストレスを感じ、バーで知り合った行きずりの男性と一夜限りの関係を持つ。
しかしその翌日から彼女の体は、性器を中心に腐敗していくような異常な症状が発生。
病院に行くも原因は突き止められず、更に友人から『彼女がバーで関係を持った男性を警察が捜していた』という奇妙な話を聞かされる。
不安になった彼女は恋人の元を訪れるが、彼女からも冷たくあしらわれた事から精神的に追い詰められて、徐々に情緒不安定な状態に陥っていき…
レズビアンの女性が見知らぬ男性と一夜限りの関係を持った事からゾンビウィルスに感染してしまい徐々にゾンビとなっていくという、モンスターホラー風味のサスペンス映画。
最近ちょっと流行りつつある、いわゆる『主人公がゾンビになっちゃう系』のゾンビ映画ですね。
本作はサブタイトルのとおり『主人公がゾンビになるまでの3日間』を描いた作品なので、厳密な意味での『ゾンビ映画』とはちょっと異なってサスペンスの要素が中心といった感じの作品です。
で、肝心の本編の方はというと、なんと言いますか色んな意味で『嫌な感じの映画』という感じの内容ですね。
お話としては、『ゾンビウィルスに感染してしまったヒロインが、肉体が徐々にゾンビ化していく事によるパニックから精神的に追い詰められていく』という感じの展開なのですが、ぶっちゃけ『ゾンビ要素って必要なくない?』ってぐらいにゾンビ要素が薄い。
ゾンビ化していく主人公が、恋人にも冷たくされて誰にも相談できないままに徐々に精神を病んでいく訳ですが、主人公が恋人に冷たくされたらリストカットしちゃうようないわゆる『メンヘラ系』で、なんとも自己中心的な性格のためどうにも感情移入できません。
むしろ、恋人に相手にされないからといって他の男と関係を持ってみたりドラッグに逃げてみたりと、どうにも身勝手なばかりの展開が多いためイラつく事しきりです。
まあ他者への依存性の高い性格のヒロインが徐々に壊れていく様子を描いた映画なので、そういう感想を持つのが正しい姿なのでしょうが、どうにもモヤっとします。
あと本編のウリでもあるゾンビ化の表現も、爪が剥がれたり髪の毛が抜けたりするのは気持ち悪いのですが、『性器を中心に腐敗していく』といっても流石にその様子を直接的に描写できる訳でも無いので、ヒロインの危機感が伝わりにくくて全体的に緊張感に欠けます。
また、ゾンビ映画の割には『ゾンビになるまで』の過程しか描かれていないうえにヒロイン以外のゾンビは登場しないために、どうにも盛り上がりに欠けるというか…
ぶっちゃけコレって『ゾンビの部分が単なる性病(AIDSとか)だったとしてもストーリーが成り立つよね?』って感じの内容なので、ゾンビ映画として観ると不満点ばかりが感じられてしまうのも辛いところでしょう。(ゾンビ要素を推すなら、もっとエグくて気持ちの悪い描写があっても良かったと思う…)
まあヒロインの心理描写なんかも丁寧でお話の流れも分かりやすいですし、作品としてのテンポも悪く無くて純粋にサスペンスとして観れば楽しめなくはないレベルなのですが…主人公の境遇に全く同情の余地が無く共感できない事や、ゾンビ要素がかなりおざなりで盛り上がりに欠けるのがなぁ…
総評としましては、サスペンスとしては並ぐらいの出来なんだけど『どうにもストレスばかりが強くて物足りなさの残る微妙な作品』といった感じの一本ですね。
まあ『主人公がゾンビになっちゃう系の作品』が好きならば、チェックしてみても良いかもしれませんが、ぶっちゃけ個人的には本作を敢えてプッシュするほどの要素は弱いかなぁ?
とりあえずイロモノ系のネタ映画を求めているならば、まあ『お好みで』といった感じの作品といったところでしょう。