NIGHT_SHIFT (B級映画&ゲーム雑感 上井某BLOG)

上井某(家主)が観た「B級映画」(主にホラーとサスペンス)の感想と、たまにゲームとかアニメとかについてつらつらと語るブログです。

映画感想:「ピエロがお前を嘲笑う」(65点/サスペンス:結構オススメ)

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■■■「ピエロがお前を嘲笑う」■■■
(65点/サスペンス:結構オススメ)

 プログラミングが趣味でおとなしく目立たない高校生のベンヤミンは、ある日、憧れの彼女に認められようとして大学のサーバルームに試験問題を盗むために侵入したところ、警備員に見つかって逮捕されてしまう。

 判決で奉仕活動を命じられた彼は、奉仕活動の最中に高いカリスマと野心を持つハッカーのマックスと出会った事から意気投合し、彼らを含む4人の仲間によってハッキングチームの『CLAY(クレイ)』を結成。

 彼らは大胆な手口でさまざまな企業や組織のサーバやシステムに侵入し、ネットの裏社会で瞬く間に有名になっていき、遂には実力を誇示するために連邦情報局のサーバにまで侵入を成功させ、有頂天になる。

 しかし、ベンヤミンの不用意な単独行動が元でロシアのサイバーマフィアに情報を漏出させてしまった事から、連邦情報局の連絡員がロシアンマフィアに殺害されるという事件が発生してしまい…



 若者のハッカー集団がふとした事から巨大な犯罪に巻き込まれていくという、コンピュータ犯罪を題材にしたサスペンス映画。

 TSUTAYAの先行レンタルものでは珍しく評判が良かった作品という事で、以前から気になっていたのをようやく鑑賞したのですが、確かにコレはなかなか面白いサスペンス映画です。

 単純にサスペンスとしてもなかなか良く出来ているのですが、主人公たちのキャラの立て方が非常に良くて、世界の中で自己を確立しようとする主人公とその仲間達の物語という感じの展開で、青春群像劇として見ても普通に面白いレベルなのは非常に良い感じ。

 サスペンスとしてはそこまで特筆するほどではないものの、難解な『サイバー犯罪』を上手い具合にビジュアル化しており、コンピュータにそこまで詳しくない人が見ても分かりやすい感じの作りになっているのも良く出来ています。

 また、一応セキュリティ関連の仕事をしている自分からみても、ハッキングの手順とかが現実的にあまり無理がなくて、リアリティのある感じに仕上がっているのも好印象です。(よくある『天才ハッカーが一瞬で暗号解読する』とかってのじゃなくてキチンと『人間という脆弱性を狙う』ってのは、コンピュータの弱点を良く分かってます。)

 終盤のお話が動き出してからの展開もテンポが良く、ハッカー同士の騙しあいやら駆け引きやらもなかなか良く出来てますし、これは『サイバー犯罪を題材としたサスペンス映画』としては、傑作に近いレベルの作品ではないかと…

 ただ前述したように青春群像劇的な要素が強いため、序盤の展開がちょっと冗長で、若者たちがどうでもよいハッキングを繰り返して有頂天になっているシーンが長くて、ストーリーがなかなか本筋の部分に入っていかないのは、人によってはちょっとイライラしてしまうかも?
 (主人公たちのキャラクターを掘り下げるために必要な部分ではあるんでしょうけど…)

 他にも、サイバー犯罪を上手くビジュアル化しているとはいえ、割と専門的なコンピュータ用語が特に説明も無くバンバン出てくるので、コンピュータにあまり詳しくない人が見ると、ちょっと分かりにくい部分もあるかも…ってところは気になったかなぁ?

 あと『予測不可能のドンデン返し』ってのがウリ文句となっていたのですが、確かにラストでドンデン返しはあるものの『綿密に伏線が張られた展開』ってのじゃなくて『割と後付けでどうにでもなるようなトリック』だったので、ドンデン返し部分に関しては期待してた割には正直イマイチでした。

 まあでも、なかなかカタルシスのあるオチの付け方で、総じて良かったとは思いますけどね…


 総評としましては、微妙な事で有名なTSUTAYA先行系の作品としては『非常に良く出来たサイバー犯罪ものサスペンス映画』っていうのが正直な感想です。

 青春ものとしても良く出来ているので、青春もの×サスペンスみたいなノリの映画が好きな人ならば、間違いなく観ておいて損は無い一本と言えるでしょう。

 逆に『凄いドンデン返し』みたいなのに期待をして観ると、ちょっと肩透かしを食らってしまうかもしれませんので、そっち方面で期待している人は過剰な期待をしすぎないように注意が必要かもしれません…

 ともあれ、総合的には掘り出し物的な佳作サスペンス映画だと思うので、個人的にはなかなかオススメの一本ですよ。