NIGHT_SHIFT (B級映画&ゲーム雑感 上井某BLOG)

上井某(家主)が観た「B級映画」(主にホラーとサスペンス)の感想と、たまにゲームとかアニメとかについてつらつらと語るブログです。

映画感想:「スウィート・ホーム」(55点/サスペンス)

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■■■「スウィート・ホーム」■■■
(55点/サスペンス)

 バルセロナで不動産ブローカーとして働くアリは、恋人のサイモンの誕生日を2人で祝うため、殆どの住人が不動産屋によって立ち退かされて廃墟同然となったアパートの一室に忍び込む。

 2人で密かに過ごしていた彼女たちだったが、深夜にアパートが突然の停電に遭遇。
 アリは、唯一の住人である老人の身を案じて様子を見に行こうするが、老人の部屋から不審な男たちが出てくるのを目撃し、更には部屋の中で老人が殺害されているのを発見する。

 男たちの存在に身の危険を感じた彼女はとっさに身を隠すが、恋人のサイモンが男たちによって捕らえられてしまい…



 不動産屋の派遣した殺し屋(地上げ屋)たちによって古いアパートに閉じ込められた若者たちがなんとかしてピンチから脱出しようとするという、サスペンススリラー映画。

 「スウィート・ホーム」と言っても、 伊丹十三製作、黒澤清監督の佳作和製ホラー映画とは全く関係のない、スペイン製の密室監禁型のサスペンススリラー映画です。

 お話としては、閉鎖寸前のアパートで地上げ屋の派遣した殺し屋の殺害現場を目撃してしまった若者たちが、アパートから脱出するために殺し屋達と対峙する事になるという感じのストーリーなのですが、特に期待していなかった割には低予算ながらも意外と良く出来た作品といった感じです。

 何が良いって、とにかく非常にテンポが良い作りなのが本作の一番の良いところでしょう。

 主人公たちは殺し屋たちに追い詰められても、単純に逃げ回るだけではなく何とかして脱出するための策を講じようとするのですが、その主人公たちと殺し屋たちのやり取りがまさに『一進一退の攻防』って感じで、非常にテンポ良く進んで行くのがなかなか熱い…

 またお話の流れも逆転に継ぐ逆転って感じで、最後までどちらが勝つか予測できないような展開なのは面白いです。

 主人公たちの立ち回りがなかなか賢くてあまりイライラさせられないのも良い感じですし、対する殺し屋の冷酷で何を考えているのか分からない雰囲気も、主人公たちと好対照でキャラがなかなか良く立っています。

 ただお話のテンポが良いのは良い感じなのですが、ドラマ的な要素やストーリーらしいストーリーは殆ど無く、最初から最後までほぼ主人公と殺し屋たちが対決しているだけの展開なので、見終わった後に内容が非常に薄く感じてしまうのは残念なところ。

 もうちょっと、主人公と恋人の関係とかを掘り下げるような要素はあっても良かったかもしれません。
 (なんか男の方は、単に『事件に巻き込まれた可哀そうな人』みたいな印象しか受けなかったので…)

 あとラストの展開はちょっとアッサリしすぎで物足りなさを感じたので、オチはもうひと捻りあっても良かったかも…


 総評としましては、『低予算ながらも割と良く出来たB級サスペンススリラー映画』って感じの作品です。

 面白かったのですが、佳作と呼ぶにはもう一声ぐらい『本作ならではの個性』が欲しかった気もするので、そういう意味では若干勿体無さを感じる作品だったかも?

 まあでも密室監禁系サスペンス映画としては、なかなか楽しめる内容だと思いますので、そういう感じのジャンルが好きならばとりあえず観ておいても損は無い一本だと思いますよ。