漫画家を目指すも才能に恵まれず、アシスタントとしてのバイト生活から抜け出せず恋人にすら愛想をつかされるダメ男の英雄は、ある日、自宅に帰ると怪物(ゾンビ)のように変貌した恋人に襲われて殺されそうになってしまう。
揉み合う内に誤って恋人を殺してしまった彼はショックのあまりふらふらと仕事場を目指すが、街は既に同じように怪物と化して暴れまわる人々によって既に大パニックに陥っていた。
街で出会った女子高生の比呂美らと共に近くのタクシーに逃げ込んで怪物の襲撃を逃れた彼は、謎の感染症によって人々が次々とZQN(ゾキュン)と呼ばれる怪物に変貌している事を知る。
なんとか怪物の少ない郊外へと逃げ出す事に成功した彼らは、ネットで聞いた『空気の薄い場所ではウィルスに感染しない』という不確かなウワサを元に、避難するために富士山を目指す事となるが…
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劇場にて「アイアム ア ヒーロー」を観てまいりました。
ぶっちゃけ、歴代の和製ゾンビ映画の中では最高峰と言って良いレベルの作品(そもそも和製ゾンビ映画自体が殆ど無いという話はさておいて…)と言う感じで、シッチェス映画祭とかで高評価されているのも納得の出来でした。
(むしろ、あんなお馬鹿映画っぽいCMの打ち方をしてるのは勿体無い…)
(むしろ、あんなお馬鹿映画っぽいCMの打ち方をしてるのは勿体無い…)
ロードムービーらしく人間ドラマ的な要素は濃い目なのですが、マンガが原作だけあって登場人物のキャラも良く立っていて、ドラマ部分も非常に観やすいのは良い感じ。
主人公役の大泉洋のトボけた感じのキャラクターも、非常に良い味を出しています。
主人公役の大泉洋のトボけた感じのキャラクターも、非常に良い味を出しています。
ソンビの描写も予想以上にグロくゴア描写も結構強めなうえに、ZQNの顔のアップの気持ち悪さは割と正視に堪えないレベルで、ゾンビ映画好きの人にも十分に満足できるレベル。
また序盤とか終盤のパニックシーンは、『日本の日常風景』を描いている事もあってか、日本人的に見ると妙なリアリティがあって割と本気で怖い上に、迫力や爽快感もあって本場のゾンビ映画にも全く負けない完成度なので、一見の価値アリでしょう。
ただ難を上げるとしたら、2時間強という長めの尺なのですが『もともと更に長い話を無理矢理詰め込んだ』という感じがして、ちょっとブツ切り感があるところかなぁ?
(特に映画の中で一箇所、短いカットの間に物凄い時間が経過してるシーンがあって、観ていてちょっと違和感がありました…)
あと序盤の主人公のダメ男っぷりを描くシーンも、妙に長くてちょっとイライラします。
(特に映画の中で一箇所、短いカットの間に物凄い時間が経過してるシーンがあって、観ていてちょっと違和感がありました…)
あと序盤の主人公のダメ男っぷりを描くシーンも、妙に長くてちょっとイライラします。
またマンガの方は読んだ事が無いものの、原作では個性的な画風と演出による『独特のテイスト』が高い評価を受けているようなのですが、そういったテイストまで再現できているかと言われると、正直言って微妙なところ。
(有名なシーンとかの絵は観た事があるのですが、あのテイストの再現は流石に映画じゃ無理だと思う…)
(有名なシーンとかの絵は観た事があるのですが、あのテイストの再現は流石に映画じゃ無理だと思う…)
まあその辺は割り切って、普通に『和製ゾンビ映画を観るつもり』で観に行った方が良いでしょう。
あと最初に書いたように、CMとか公式サイトとかがポップな感じのテイストを意識しているので、それに騙されてホラーがあまり得意じゃない人が軽いノリで観に行ったとしたら、本気で悪夢に出そうなぐらいエグくて怖い映画なので、あのCMの騙まし討ち的なノリはどうにかした方が良いんじゃないかなぁ…
(「進撃の巨人」の映画が割とエグくて批判されてましたが、本作はその比じゃないぐらいエグいので…)
(「進撃の巨人」の映画が割とエグくて批判されてましたが、本作はその比じゃないぐらいエグいので…)
総評としましては、荒けずりな部分もあるものの『非常にパワフルで良く出来た和製ゾンビ映画』というのが正直な感想です。
原作が好きな人とかから見ると色々と言いたいところもあるかもしれませんが、ひとまずソレは置いておいて普通にゾンビ映画として楽しむ分には十分な良作だと言えるでしょう。
素直に『日本もキチンとしたゾンビ映画が作れるじゃん!!』と感心させられた作品でしたので、そういうジャンルが好きであれば是非ともチェックしておくべき一本だと思いますよ。