■■■「パンデミック・フライト」■■■
(30点/サスペンス)
近未来、極めて高い感染力と致死率を持つ謎の細菌感染症の大流行により、イギリスは伝染病の拡大を防ぐため旅客機の国外への飛行を禁じてしまう。
しかし、感染の発生していない国へと避難するための最終フライトとなる飛行機の乗客から伝染病の感染者が発見されるという事態が発生。
彼らは感染者を後方座席に隔離しつつも、これ以上の感染者を拡大させないために感染者を降ろすべきか、自分たちだけでも無事に安全な国に避難するためにフライトを続けるべきかの対立が巻き起こってしまい…
謎の伝染病の大流行によって無政府状態となった世界で、国外に脱出するための飛行機から感染者が発見された事によって起こるパニックを描いた、感染パニックものサスペンス映画。
設定だけ聞くと社会派のシリアスなサスペンスドラマのような印象を受けますが、その実は超低予算の閉鎖環境型スリラーって感じのお話です。
そもそも『国外への脱出可能な最終国際便』って設定の割に乗客が10名ぐらいしか乗ってないという設定の時点で、色々と低予算っぷりが読み取れてお察しな感じですが、その他も色々とツッコミどころが満載。
国際便の割に脱出先が明確に決まっておらず途中でフライトプランを話し合ったりするのですが、機長がいきあたりばったりで飛行先を決めようとするとか、いくらパニックが発生してるからってそんな適当なフライトプランが通るわけ無いだろと…
(無人の飛行場から飛行機を盗んだって設定ならまだしも)
単なる飛行機の乗客が感染者の生殺与奪に関して議論したりするのも『お前ら何様だよ?』って感じですし、ここまでアナーキー(無政府状態)な状態を描くんなら中途半端に政府が残ってるような状況設定にしない方が良かったんじゃないかなぁ?
途中で飛行機を墜落させようとする乗客が居たり、給油のために着陸した飛行機のハイジャックを目論む連中が現れたりとかするのですが、こいつらの行動原理も利己的過ぎてもはや意味不明のレベル(そもそもハイジャック犯はパイロットに何かあったらどうやって飛行機を飛ばすつもりなのか)ですし、全体的にストーリーがグテグテすぎて観ていてイライラします。
そして何よりイラつくのが、登場人物の大半が恐ろしく身勝手な性格をしていて全く魅力を感じられないこと。
おかげで主人公たちがピンチに陥っても全く共感できなくて、途中から『もういいから勝手に死んどけよ』という感想しか沸いてこなくなるのは困りものです。
ラストのオチも物凄い投げっぱなしで何が言いたいのかサッパリ分からない終わり方ですし、最初から最後まで何を描きたいのか釈然としない作品でしたよ…
総評としましては、単純にあんまり面白くない『微妙な出来の感染パニックものサスペンス映画』って感じの作品ですね。
社会派ドラマっぽいプロットから、もっとシリアスなドラマが描かれるのかと思いきや物凄い安っぽい閉鎖環境型サスペンス映画でしたので、シリアスな人間ドラマ的なノリの映画が観たいという人は観ない方が良いと思います。
普通にツマんないだけでネタとしても弱いのでバカ映画好きにもあんまりオススメ出来ないですし、割と一番評価に困るタイプの作品でしたよ…