■■■「アンフレンデッド」■■■
(60点/オカルト)
泥酔した時の恥ずかしい映像をネットにアップされたせいで、女子高生のローラ・バーンズという少女が自殺する。
それから1年後、ローラの命日に彼女の友達や幼馴染たちがネット上で集まってSkypeで通話していたところ、その場に謎のアカウントが闖入(ちんにゅう)。
そのアカウントが亡くなったローラのアカウントだと気付いた彼らは、最初はハッカーによる悪質な悪戯ではないかと考えるが、どうしてもそのアカウントを遮断する事ができずに困惑。
やがて『ローラの復讐だ』と語るそのアカウントは、彼ら以外に知りえない仲間の秘密を次々とネットに暴露していき、更に暴露されたメンバーが画面越しに謎の死を遂げていくのだった…
ネットいじめを苦に自殺した少女がチャットルームに出現し、自分を死に追いやった動画をアップした相手に復讐しようとするという、オカルトサスペンス映画。
「パラノーマル・アクティビティ」シリーズのジェイソン・ブラム制作によるシチュエーションスリラー風のホラー映画なのですが、一発ネタ的なアイデア勝負の映画ながらもなかなか斬新で面白い見せ方の作品だと思います。
お話としては、『仲間内で行っていたSkypeのビデオチャットのチャットルームに1年前に死んだはずの少女のアカウントが出現し、彼女を死においやった旧友に対して復讐を行おうとする』というような感じの内容。
ストーリーが主人公の1人称的な視点で進んでいくシュチュエーションスリラーっぽい構成なのですが、最初から最後まで『主人公の操作するパソコンの画面を映しているだけ』という手法は、確かに今までの作品には無かったタイプの演出という感じで面白いですね。
お話が『主人公たちの参加したスカイプチャットの画面』を中心に、ところどころでLINEやFACEBOOKのテキストチャットを交えながら展開していくのですが、こういったSNSを普段から利用している人にとっては、非常になじみ深くて楽しみやすい作りになっているのは良い感じ。
また主人公たちもいきなり霊の存在を信じるのではなく、最初はソフトの異常やハッカーの仕業とかを疑って、アプリを再起動したりスパイウエアの削除ソフトを実行してみたりするという展開な辺りも、主人公たちが普段からPCに慣れ親しんでいるユーザーっぽい雰囲気があって、妙なリアリティが感じられるのも面白いです。
ただアイデアは斬新で面白いのですが、オカルトサスペンスとして面白い作品かというとちょっと微妙なレベルなのは残念なところ。
お話の流れとして『霊のよって主人公たちの秘密が暴露されていく』みたいな展開なのですが、この流れが霊の恐怖というよりも『主人公たちの内ゲバ大会』的なノリに半分ぐらいが費やされており、あんまりオカルト的な怖さが感じられないんですよね。
また、お話も基本的にPC上の小さなチャット画面を中心に展開していくため、実際にSkypeとかで多人数チャットした人ならわかると思うのですが、多人数で同時に喋っていると何が起こっているんだか分かり辛く、また恐怖シーンになっても画面が小さすぎて迫力が感じられないのは困りもの。
まあこの辺は、作品としての分かりやすさよりも『最初から最後までPCの画面を表示するだけ』という一発ネタ的な要素を取ったという事で、トレードオフ的な部分ではあるのでしょうが、もうちょっと上手い見せ方が無かったものかと思わなくも無いです。
あと主人公たちも自殺した少女も、どちらも割と酷いクズ野郎っぷりで死んでも自業自得的なノリなので、登場人物が死んでも何の恐怖も感慨も湧かないためにいま一つ盛り上がりに欠けるのも残念なところかなぁ?
あと本作は劇場公開向けに作った作品っぽいですが、作品のノリ的にむしろ『ネット配信専用』とかにした方がシックリ来たような気がしたのは自分だけ?
総評としましては、『SNSを題材とした斬新なアイデアと演出が面白いオカルトサスペンス映画』だと思います。
ただ映像表現や演出は面白いものの映画そのものは『月並みな出来のB級ホラー』という感じなので、普段からSNSとかの文化に触れていない人は、単に観づらいだけのイマイチな作品と感じてしまうかも?
まあ一発ネタ的な作品としては面白いですし、こういったジャンル系のシチュエーションスリラーとかが好きな人であれば、今までに無かった系統の作品として楽しめると思いますので、気になるのであればチェックしておいて損は無い一本だと言えるでしょう。