■■■「ミラーズ 呪怨鏡」■■■
(55点/オカルト)
ある日、13歳の少女であるアーニャは、友人たちと共に度胸試しとして鏡の中から「スペードの女王」と呼ばれる都市伝説の悪霊を呼び出す儀式を行う事となる。
その時は特になにも起こらずに終わるが、翌日にアーニャの目の前で友人の一人であるマイヴェイが心臓発作で急死してしまい、怯えた彼女は別居中の父に助けを求める。
アーニャの父のアントンは、最初は娘の話を単なる妄想だと捕らえていたが、翌日に更に別の友人が自宅で変死するという事件が発生。
加えて彼の身の回りでも異様な現象が相次いで起こるようになった事から、娘を守るために娘の友人が生前に連絡を取り合っていた『スペードの女王に詳しい』と自称する謎の男にコンタクトを取る事となるが…
鏡から呼び出される『スペードの女王』という都市伝説の悪霊の恐怖を描いた、オカルトホラー映画。
「ミラーズ」というタイトルが付いていますが、アレクサンドル・アジャ監督の撮った『呪いの鏡』を題材とした「ミラーズ」シリーズとは特に関係のない、ロシア製のオカルトホラー映画のようですです。
本作は、鏡に口紅で階段とドアの絵を描いて呪文を3回唱えると現れるという『スペードの女王』という悪霊の都市伝説を題材としているようですが、この都市伝説がロシアで実在するものなのか作品の中での創作なのかはちょっと不明です。
(ロシアに「スペードの女王」という亡霊が登場する有名な幻想小説(オペラ)がありますし、召喚の方法も「ブラッディ・メアリー」の派生っぽいので、もしかしたら実在するのかも?)
まあ出自に関する話はさておき、映画の中身の方は『ごく普通の都市伝説ものオカルトホラー映画』って感じの作品ですね。
お話としては、『ある少女が友人と一緒に都市伝説の悪霊である「スペードの女王」を呼び出す儀式を行ったところ友人たちが次々と変死を遂げていき、彼女の父親は娘を救うために「スペードの女王」の謎を探る事となるが…』という感じで、都市伝説ものとしては非常にオーソドックスな流れという感じの内容。
お話の展開やら演出やらも非常に定番な感じの作りで、舞台となるロシアの古びたマンションもなかなか不気味な良い雰囲気が出ていますし、悪霊が少しづつ主人公たちに迫ってくるという演出もまあまあ良く出来ていて、飛びぬけて怖い部分も無いものの全体的に及第点レベルでソツの無い完成度という感じですね。
「スペードの女王」の正体に迫る謎解きの部分はなかなか良く出来ていて、いかにもオカルトサスペンスらしい感じの展開で面白いです。
娘を守ろうとする主人公に協力するのが、かつて「スペードの女王」に息子を殺された父親という設定というのも、いかにも『親子のドラマ』が主体といった感じの作りでキャラが良く立ってて良い感じ。
ただ謎解きの部分は面白いのですが、終盤の悪霊に対抗するための展開が殆ど力技みたいな流れで、あまりにも強引すぎるのは個人的にちょっと違和感があったかなぁ?
その辺は、何かもうひと捻りの説得力が欲しかったところ。
(ちょっとネタバレになりますが、アレってどう感えても医師のオッサンの『仮説』でしかないのに命をかけて実行するにはリスキーすぎるよね…)
あとオカルト描写が全体的に軽めで、いまひとつ「スペードの女王」の怖さが伝わって来なかったので、もうちょっと演出なり残虐描写なりは過激でも良かったかも?
総評としましては、なんというか良くも悪くも『普通レベルのオカルトホラー映画』って感じの作品ですね。
そこまで取り立てて良くも無いものの特に悪い部分も無いという感じなので、都市伝説系のオカルトサスペンスとかが好きであれば観ておいても損は無い感じの映画ではないかと。
まあ強く推す程でも無いですが、予告とかを観て気になっているならば、チェックしておいても良いって程度の一本という感じでしょう。