■■■「呪術召喚/カンディシャ」■■■
(55点/オカルト)
フランスの下町に住む高校生のアメリは、幼なじみのビントゥ、モルジャナと遊んでいる時に、モロッコの伝説に伝わる『復讐の悪霊カンディシャ』の噂を聞かされる。
DV気質でストーカーの元カレのファリドに暴力を奮われたアメリは、怒りからカンディシャの召喚の儀式を行うが、その翌日に元カレが事故で急死したとの知らせを受ける。
更に彼らの周りで、身内の男性たちが立て続けに変死を遂げるという事件が発生。
事件がカディンシャの仕業であると知った3人は、なんとかして悪霊の暴走を止めようとするが…
少女がDVな元カレに復讐するために悪霊を召喚する儀式を行ったところ、悪霊が暴走して次々と人々を襲うようになってしまい…という感じの、オカルトサスペンス映画。
パッケージとかタイトルロゴを見ると、どこか『某呪術アニメ』を連想させるような雰囲気ですが、特に関連するような要素もないフランス製のオカルト映画で、ノリとしては『都市伝説ホラー』にイメージが強い作品です。
お話としては、『とある少女がDVな元カレに復讐するために伝説の「復讐の悪霊」を呼び出す儀式をするんだけど、その悪霊は実は「復讐のために6人の男性を殺す」まで暴走を止める事が出来ない事が判明し、なんとかしてその殺戮を阻止しようとするが…』みたいな感じのストーリー。
悪霊召喚の儀式が矢鱈と簡単(血で魔法陣を書いて5回名前を呼ぶだけ)だったり、呼び出した悪霊をなんとかして止めるために伝説を調査したり…といった感じで、お話的には『都市伝説ホラー』のテンプレートに則った感じの作りになっています。
暴走した悪霊が、その呪いのせいで『主人公たちの身内の男性を次々と殺害していく』という展開なのですが、序盤~中盤にかけては悪霊の姿が割と出し惜しみされており、殺し方もあまり工夫が無いせいでちょっと盛り上がりに欠ける印象。
また、主人公たちが割と『悪ガキの不良グループ』的な描かれ方をしてるのも、感情移入の妨げになってしまっている感があるんですよね。(B級ホラーでは、『不良は多少ひどい目にあっても自業自得』みたいな空気があるので…)
ただ、主人公たち3人のキャラの掘り下げは意外と丁寧に行われているので、終盤にはシッカリと感情移入できるようになっているのは良い感じです、
序盤~中盤の地味な印象に反して、後半で悪霊が本格的に姿を現してからの展開はなかなか派手で面白いのは良い感じ。
悪霊の姿は『上半身が美女で下半身が山羊(牧神のパンみたいなデザイン)』という姿なのですが、『上半身はめっちゃ美人の見た目なのに身長が3m弱ぐらいあって下半身が獣』というデザインのお陰で、ギャップによるインパクトが凄くてなかなか迫力があります。
人間を襲う際の過剰なまでのパワープレイによる容赦ない残虐ファイトも良い感じで、モンスターとしてなかなか魅力的に仕上がっているんですよね。
惜しむらくは暴れ回るシーンがほぼ終盤に集中しており、序盤の殺害シーンが淡泊すぎる感じになってしまっているので、出来れば序盤からもう少し残虐ファイトの片鱗を見せて欲しかったところ。
あと終盤で盛り上がる割には、オチは矢鱈とアッサリしてて『えっ、今ので終わり?』みたいな感じだったので、最後はもうひと捻りぐらいあっても良かった気がしますよ。
総評としましては、『まあまあ観れるレベルの都市伝説ホラー系オカルトホラー映画』って感じの作品ですね。
強く推す程では無いですが、都市伝説ホラーとかが好きであれば普通に観れるレベルの映画だと思います。
モンスターのデザインやらがなかなか秀逸で観るべき部分もあるので、そういう部分が気になっているようであればチェックしてみても良いかもしれませんよ。